西武本田と辻監督の不思議な縁 プロ初勝利に「何回も裏切りたくなかった」
7回途中4失点の好投で初勝利の本田「監督の“一番最初”に縁があった」
■西武 8-6 ロッテ(4日・メットライフ)
「辻監督の前で、初勝利をあげることができてよかった」
登板を終えた本田の表情が、ふわりとほころんだ。4日の本拠地ロッテ戦に先発し、7回途中4失点。味方の援護にも守られながら試合を作り、プロ初白星を手にした。
辻監督が期待を寄せ続けてきた。指揮官就任が決まった2016年秋、最初にチームの視察に訪れたのがフェニックスリーグ。そこで先発し、好投していたのが当時ルーキーイヤーを終えたばかりの本田だった。
辻監督は就任後初めての春季キャンプで2年目の本田をA班に抜擢。「俺が監督になって、初めて見たピッチャーはお前だったな」と声をかけ、2人の縁は始まった。辻政権になってから初めて迎えた実戦でも、指揮官は本田を先発に指名。本田は「監督の“一番最初”に縁があった。そういうところの期待を感じていました」と振り返る。
しかし、辻監督就任から2シーズンが過ぎても1軍登板は6試合のみと期待に応えることはできずにいた。「2年目、3年目、今年とA班でスタートさせてもらったのに、思うように結果を残せなかった。(監督を)何回も裏切りたくないと思っていた。それがプレッシャーになったらだめなので」と話した本田。ファーム再調整になった3月には知人の紹介でスポーツ心理学の専門家による講義を受けた。呼吸を整えることで緊張を抑え、ピッチングの悪いイメージをいいイメージに塗り替えることでプレッシャーを克服した。「今日はプレッシャーはなかったですね、楽しめました」と指揮官の前で堂々とした姿を披露。磨いた投球術とメンタルの充実が結果に表れた。7回途中4失点の粘投で念願の初白星を手にした。
試合が終わるとウイニングボールを手に辻監督と笑顔で握手を交わした本田。まぶしく瞬くフラッシュの中で、2人の縁が再び巡りだした。
(安藤かなみ / Kanami Ando)