指名人数は日本の10倍 熾烈な競争社会を生み出すMLBドラフト
米国では3日間かけて行われるドラフト、30球団に40巡目までの指名権
メジャーリーグでは、2016年シーズンのドラフトが6月9日から11日までの3日間開催されている。日本では1日で終わるドラフトが、なぜ米国では3日もかけて行われるのだろうか。
その答えは、プロ野球12球団が最大で指名できる選手が120人であるのに対し、メジャーでは30球団が40巡目まで指名権を持っており、合計1200人がプロ入りする可能性を秘めているからだ。
各球団は将来のメジャーリーガーとなるべき逸材40人を指名するために、スカウト陣が全米中のタレントを見定めている。ドラフト前には各地でスカウト活動を続けていた者たちが集結し、それぞれが見てきた選手たちをプレゼンする。私もメジャー球団でインターンをしていた際にこの会議に居合わせたことがあるが、選手の育ちや両親の職業など至るところまで話し合う。そのプレゼン内容を受けて、定められた指名順位で誰を選択するのかというボードを作成する。他球団あってのドラフトであるため、さまざまなシナリオを予想して何通りの可能性も考えていく。
さらに、球団側が意中の選手を選択しても、それが相思相愛になるかは別の話だ。事前にスカウトたちは選手自身が大学進学ではなく、プロ入りを希望しているのかということも調査しておく必要がある。
上位指名であれば多額な契約金が約束されているため、入団することが多いが、下位指名の選手は大学進学を優先するなどして自らの価値を高め、再び数年後にドラフトで上位指名されることを目指す場合もある。
日本では希望球団への入団が実現しなかった場合、ドラフト指名を受けても入団を拒否するという例がこれまでにもあったが、米国ではどちらかと言えば指名を受けた後の契約金交渉がまとまらずに入団に至らなかったケースが多い。