治療専念のため球宴不参加を決めた田中将大に地元メディアも驚き 高いプロ意識にヤンキース監督も「選手としての責任を自覚している」
田中がオールスターを回避した訳とは?
右肘靭帯の部分断裂で全治6週間と診断されているヤンキースの田中将大投手がオールスターゲームに参加せず、現地時間14日から早期復帰を目指して治療を開始させることになった。この高いプロ意識が地元メディアでも驚きを呼んでいる。ESPNが「タナカがオールスターフェスティバルを回避する」との見出しで特集している。
ヤンキースのジラルディ監督は12日のオリオールズ戦前に「彼は治療に専念することになるから、オールスター戦には行かない」と話した。
田中は前半戦でリーグ最多となる12勝(4敗)、防御率2・51と好成績を収め、メジャー1年目にして選手間投票トップでオールスターゲームに選出された。しかし、8日のインディアンス戦後に右肘の負傷が発覚し、故障者リスト入り。球宴にはレッドソックスの上原浩治投手が代わりに選ばれたが、田中自身も参加する可能性が残されていた。
今回、治療に専念することを理由に球宴の不参加が発表されたことについて、記事では「なぜだ? ミネアポリスで行われる祭典に顔見せ程度なら、(患部に)悪い影響はなさそうなものだが、彼はその必要性を感じていない」と驚きを見せている。
オールスター選出はメジャーでも大きな名誉。怪我を抱えている選手もファンへの顔見せや他球団のスター選手との交流で刺激を受けるために参加するケースも多い。田中にとっては他球団のエースに肘痛対策など体験談を聞けるチャンスにもなるが、ジラルディ監督は「彼は腕の治療を優先させ、(早期復帰の)準備をすることを決断した」と話し、田中が治療と早期復帰に全身全霊をかけていることを明かした。
ニュージャージー州最大のニュースサイト「nj.com」によると、田中は14日からリハビリを開始するという。まずはPRP皮膚再生療法という自身の血液から抽出した多血小板血漿を注射する方式で治療を進める方針だ。
「彼は野球というものを完璧に理解している。いかにして変化を生み出すかも分かっている。そして、選手としての責任というものも自覚している」
ジラルディ監督はそう語り、田中に対して強い信頼感を示している。ルーキーイヤーでのオールスター参加という名誉にこだわらず、完治を目指す田中のストイックなプロ意識は米メディアでも驚きをもって伝えられている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count