高橋尚成の今 苦悩の1年を経験して導き出した答えとは?

2013年は高橋にとって厳しいシーズンとなった

 厳しいシーズンだった。高橋尚成は2013年のほとんどの時間をマイナーリーグで過ごした。巨人で輝かしい実績を残し、メジャー挑戦1年目の2010年にはメッツで先発、中継ぎ、さらには抑えまで務めて10勝6敗8セーブ、防御率3・61と大活躍した。そんな左腕が今季、3Aで送った時間を、無駄だったと言う人もいるかもしれない。だが、本人の思いは違う。

「今起きていることは必ず未来のために起きてるんだと思っておけば、色んなことを勉強して色んなことが見えてくる」

 かつて巨人で「宴会部長」とも呼ばれた高橋が持つ極めてポジティブな姿勢が、後ろ向きの思考を許さないのだ。

 今年のスタートは順調だった。オフにカブスと結んだのはマイナー契約だったが、招待選手として参加したキャンプで開幕メジャーを勝ち取った。オープン戦は2試合の先発を含む9度の登板で、18回1/3を9失点、防御率4・42。特筆すべき成績ではなかったものの、メッツで示したような多様性を評価された。

 しかし、開幕16日目でまさかの戦力外に。ケビン・グレッグ、キャメロン・ローという実績ある2人の右腕を獲得した球団側にとって、ロースターを空けるための策だった。当時、高橋の登板はわずか3試合で、3イニングで1本塁打を含む3安打2失点、防御率6・00。これからという時だった。

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