菅野の逆襲? CSの完封劇でセ・リーグ新人王レースに異変
ライアン小川が新人王の本命だったが
セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)史上初の完封劇で、新人王争いの情勢が変わろうとしている。大舞台で最高のピッチングを披露したのは、巨人のルーキー・菅野智之投手(24)だった。10月17日のCSファイナルステージ・広島戦(東京ドーム)で、3安打の完封勝利。セ・リーグのCSで完封はもちろん、完投すら成し遂げた投手はこれまで存在しなかった。
初めてのポストシーズンの登板だったルーキーはヒーローインタビューに、はにかみながら答えた。
「少し緊張しましたが、今までの力を出し切ろう、と。後悔しないようにしようと思いました。完封はレギュラーシーズンでできなかったので、本当にうれしい」
同じ日に先発した広島エースの前田健太(25)に投げ勝ったのだから、喜びは一入だろう。
この菅野の完封劇の前まで、今季の新人王はヤクルトのライアンこと小川泰弘(23)が本命と見られていた。小川は今季ルーキーながらセ・リーグ最多勝となる16勝をマーク。菅野もシーズン中、その小川に1勝差まで迫るなど一時はデットヒートを繰り広げ、その差が2、3勝と広がっても「難しいかもしれませんが、ファンの期待に応えたいという思いはある」と諦めなかったが、結局は13勝6敗で、16勝4敗の小川に及ばなかった。
一方で、菅野が小川を上回るポイントはチームが優勝した点だった。小川の16勝は見事だが、ヤクルトは最下位。対する菅野は重圧がかかる首位争いの渦中で投げ続け、巨人のリーグ連覇に大きく貢献した。過去にMVPが最下位球団から現れていないように、選手はいかにチームの優勝に貢献したかで評価される面もある。球界関係者からは「最下位の16勝より、優勝に貢献した13勝の方が価値がある」という声も上がっていた。