星野楽天が2枚看板を送り込んだ理由

田中、則本の豪華リレー

 楽天が21日、クライマックス・シリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦(クリネックススタジアム宮城)でロッテを8対5で破り、球団創設初の日本シリーズを決めた。1点リードで迎えた8回に、シーズン15勝を挙げたルーキーの則本昂大(22)が登板。無失点で抑えると、3点にリードを広げた9回にはエース田中将大(24)がリリーフし、最後を締めている。豪華リレーでロッテの息の根を止めた星野仙一監督(66)は「永遠のライバル、巨人の胸を借り、頭を下げて、やっつけます」と仙台のファンに約束した。

 なぜ星野監督がこの第4戦で2枚看板を大胆に投入したのか。理由のひとつに“日程”がある。

 パ・リーグのCS最終ステージは20日の第4戦が降雨中止となり、21日に順延。このため、26日開幕の日本シリーズまでの間隔が狭まってしまった。もし、21日の試合に楽天が敗れ、22日のCSファイナル第5戦に田中が先発していたとしたら、26日の日本シリーズ開幕戦まで中3日。たとえ今年25連勝中と力のある田中であっても、王者・巨人を相手にコンディションが整わない状態で投げるのはリスクが大きい。そのため、中4日以上を空けて、日本シリーズ第2戦、もしくは第3戦以降の先発に回さざるを得なかったに違いない。

 日本シリーズ初戦に田中が先発することができれば、第5戦にも中4日で登板でき、エースで2勝できる可能性が高まる。それが最初の登板がずれ込むことによって、2戦目の登板も遅くなり、最悪の場合は1登板で日本シリーズを終える恐れもあったのだ。これは楽天にとって致命傷になりかねない。

 そのため、星野監督はロッテとの第4戦で2枚看板を投入してまで、CSファイナルを終わらせようとしたのである。普段はベンチに入れない田中、則本の先発要員をメンバーに入れていたことからも、初めからこの展開をにらんでいたことが分かる。この勝利により、エース田中は日本シリーズ開幕戦の26日と第5戦の31日に登板が可能となった。現役時代から、打倒・巨人を掲げることでモチベーションを上げてきた星野監督。万全を期して、巨人の連覇を阻みにいく。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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