鷹が獲得報道…米ドラ1右腕の大物代理人、NPB行きで「経済的に断然メリット」
大物代理人のボラス氏が痛烈批判、スチュワートの日本挑戦は「球界に巨大なインパクト」
昨年の全米ドラフト1巡目(全体8位)でブレーブスに指名された19歳のカーター・スチュワート投手をソフトバンクが獲得すると米メディアが伝え、日米に衝撃が広がっている。AP通信によると、5月30日にも記者会見を行い、ソフトバンク入りを表明するという。そんな中、米全国紙「USAトゥデー」はスチュワートの代理人を務めるスコット・ボラス氏のコメントを紹介。“剛腕”として知られる大物代理人は、MLBを痛烈に批判している。
スチュワートは昨年のドラフトで指名されたものの、手首の懸念もあってブレーブスとは契約に至らず。その後、イースタンフロリダ州立短大に進学し、今年のドラフトでも上位指名の有力な候補に挙げられていた。だが、6月のドラフトを前にソフトバンクと契約合意に達したと報じられた。ソフトバンクの前代未聞の“補強策“に米国内でも驚きの声が次々と上がっている。
「USAトゥデー」は「アマチュアのプロスペクトであるカーター・スチュワートがドラフトを回避する一方で、代理人のスコット・ボラスがMLBを批判する」とのタイトルで特集。ボラス氏は記事の中で「今回の件は、球界に巨大なインパクトを与えることになるだろう。代わりとなる選択肢も存在するということを、今こうして選手たちは理解していることだろう。そしてそれ(選択肢)は、経済的に断然メリットがあることだ。こういった選手たちには価値があり、我々のシステムは、こういった選手たちの価値を下げてしまっている」と熱弁を振るっている。
米メディアの報道によると、スチュワートの契約は6年総額700万ドル(約7億7000万円)以上になるとされている。一方で、10代でMLB球団からドラフト指名を受けてマイナーからキャリアをスタートさせる選手は下積みが長くなる。米野球専門誌「ベースボール・アメリカ」のJJ・クーパー記者は、スチュワートが今年のドラフトで2巡目指名を受けた場合、4年目でメジャー初昇格を果たすと想定して、同じ6年間で手にする報酬の総額は320万ドル~350万ドル(約3億5300万円~3億8600万円)程度になると“査定”していた。今回の契約総額の約半分だ。ボラス氏が「経済的に断然メリットがある」と語る理由はここになる。
ボラス氏はまた、スチュワートと家族が実際に日本を訪れ、好印象を抱いていたと同紙に言及。「彼ら(スチュワートと共に来日した家族)は帰国して、『素晴らしい』と語っていた。これは彼にとっても、彼の家族にとってもベストなことだった」とした上で、「彼はこうして今、経済的に安泰だ。そして彼にとっての次なるステップは育成だ。日本のリーグから飛び立って、メジャーで活躍している選手を我々は何人も目にしている」と満足げに話している。日本で実績を作り、いずれはメジャーで大型契約を手にする狙いがやはりあるようだ。
今回のケースが、米国のアマチュア若手選手にとって新たな選択肢となることは間違いない。そして、スチュワートが成功を収めれば、その流れはさらに加速するかもしれない。
(Full-Count編集部)