【田澤純一コラム第9回】「もうひと花咲かせるために…」 メジャー昇格を目指す32歳・田澤純一の今
オフは筑波大で科学的根拠に基づくトレーニングを実施
まもなく33歳の誕生日を迎える田澤純一は今年、2011年以来8年ぶりに開幕メジャーを逃した。カブスとマイナー契約を結んだ渡米11年目の今季は、傘下3Aアイオワからメジャー昇格を目指す日々を過ごしている。5月27日現在、5試合(5回)に投げて3安打5奪三振2四球で無失点。ここ数年は結果を出せずに苦しむシーズンが続いたが、少しずつ本来のピッチングスタイルを取り戻しつつある。
オフには筑波大学に週4日通い、30歳を過ぎた自身の体に合ったトレーニングとピッチングフォームを求めた。体作りとパフォーマンスの精度を上げる試みは、招待選手として参加した今季スプリングトレーニングでも継続。オープン戦では6試合(5回2/3)に投げて2安打9奪三振無四球無失点の結果につなげた。契約解除を経て再びカブスとマイナー契約を結んだ後は、アリゾナ州にある球団施設で調整を進め、5月初旬に3Aアイオワに合流。「もうひと花咲かせるために頑張ります」と語る右腕が、自身が過ごす今をリポートしてくれた。
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Full-Countをご覧の皆さん、お久しぶりです。田澤純一です。僕は現在、カブス傘下3Aのアイオワ・カブスに所属しながら、メジャー昇格に向けて登板を積み重ねています。
昨年は初めてクビを経験し、マーリンズ、タイガース、エンゼルスと3球団を渡り歩くことになりました。なかなか納得のいくピッチングができず、結果も残せないシーズンでしたが、エンゼルスでは9月にメジャーで投げさせてもらい、上手くオフシーズンに繋ぐことができたと思います。契約してくれる球団があるのか分からないまま過ごすオフは正直、不安もありました。でも、僕ができることは、次のシーズンに向けて体を作り状態を上げることだけ。そんな中、まだ野球を続けるチャンスを与えてくれたカブスには、感謝の気持ちしかありません。
毎年オフは1月に沖縄でトレーニングをしていましたが、今年は行きませんでした。その代わりに向かったのが、筑波大学です。個人トレーナーとして支えてくれる井脇毅さんの紹介で、1月は毎週月曜から木曜まで筑波大に通い、自分の体と向き合いました。アテネ五輪に110Mハードルで出場した谷川聡さんや福田崇さんの指導の下、より効果的な投球フォームに繋がる体の動きをトレーニングしたり、時には川村卓先生にフォームの動作解析をしていただいたり。どうして今取り組んでいるトレーニングが必要なのか、そのトレーニングがどう投球フォームの改善につながるのか、科学的根拠を持ったアプローチを取ることはとても新鮮で、いい意味で自分を見つめ直す時間にもなったと思います。