西武戸川、球団育成出身初アーチ「色んな人に支えてもらった」オフに鷹・柳田に弟子入り
15年育成ドラフト1位でプロ入り 担当スカウトの期待「将来は柳田のような選手になれる」
■西武 3-2 ロッテ(31日・ZOZOマリン)
西武の戸川大輔外野手が31日のロッテ戦(ZOZOマリン)でプロ初ホームランを放った。
鋭い打球が、夜空を切り裂いてライトスタンドにあっという間に突き刺さった。「完璧でした。二木さんはストレートがよかったので、それを狙っていきました」。1点を追う5回、1死走者なしで打席に入った戸川は2ボールからロッテ先発・二木のアウトコース低め直球を振り抜き、ライナーで右翼スタンドに運ぶ同点ソロを放った。25日の日本ハム戦(メットライフ)でプロ初スタメン初安打を記録していたが、これがプロ12打席目での嬉しい初ホームラン。戸川は記念ボールを手に「自分だけの力ではここまで来れなかった。色んな人に支えてもらった。感謝したい」とはにかんだ。
戸川は15年育成ドラフト1位で入団した西武で初めての高卒育成選手だ。ルーキーイヤーは2軍で50試合に出場し、その年のオフに支配下登録を勝ち取った。17年シーズンは春先に右有鈎骨の骨折が発覚し手術を行った影響で出遅れたものの、復帰してからはチームトップの5三塁打を放つなど存在感をアピール。担当スカウトも「将来はソフトバンクの柳田のような選手になれる」とそのポテンシャルを高く評価する逸材だ。
本人も柳田へ強い憧れがあるといい、今年のオフは人づてに柳田の連絡先を入手し弟子入りを直接志願。吉田正(オリックス)や糸井(阪神)ら球界を代表するスラッガーたちと共にトレーニングに励み、「真剣にやる中で野球を楽しんでいた」と刺激を受けた。柳田からは「タイミングだけしっかり取れればいいところに飛んでいく」と打撃面でアドバイスを受け、打席の中でのタイミングの取り方を研究。4月5日のプロ初昇格の際には「ここからだぞ」と柳田からメールで鼓舞された。2軍再調整を経て再昇格を果たすと、スタメン起用された4試合全てで安打を放つなど、その存在感は日に日に増している。
この日は育成出身選手として球団初のアーチをかけ、「チャンスで1本打てる、チームを救う選手になりたい」と目を輝かせた。戸川の描く弾道は、レオ党の希望を乗せてどこまでも伸びていく。
(安藤かなみ / Kanami Ando)