ロッテ井上、決勝打に繋がった状況の変化 相手の暴投で「ある意味割り切れた」

ロッテ・井上晴哉【写真:荒川祐史】
ロッテ・井上晴哉【写真:荒川祐史】

同点の8回1死二、三塁で決勝の適時打を放った井上

■ロッテ 4-2 西武(5日・ZOZOマリン)

 5日の西武戦。終盤の8回に一挙3得点を挙げて逆転に成功したロッテで、決勝打を放ったのは、先日30歳になったばかりの「夏男」だった。

 ロッテが1点を追いかける展開となった8回裏。1死から連打で一、二塁で西武先発の今井をマウンドから引きずり降ろした。角中が2番手武隈からストレートの四球を選んで1死満塁。この絶好機で打席に立ったのは7番の井上だった。

 マウンドにはセットアッパー平井が上がっていた。「平井とは結構対戦を重ねているから、もう技術じゃないですね。心理戦みたいになっていますね」と井上。昨季は10打席で2安打1四球、今年は5打席で1安打1四球。何度も対戦しているマッチアップだった。

 前回対戦は5月31日、1点を追いかける7回2死満塁の場面で、結果は遊ゴロとその時は平井に軍配が上がっている。今回の勝負は1死ながら、またもや満塁での対決に。2球目で平井が暴投。三塁走者が生還し、まず、同点に追いついた。なおも、1死二、三塁。この暴投による状況の変化が、井上にとってプラスに働いた。

「(守備隊形が)前進守備になりましたし、最悪のホームゲッツーってパターンからも逃れたというところがありますよね。ヒットゾーンも広がったので、ある意味割り切りができたと思います」

 実は、井上にとってプラスに働いた場面がもう一つ。それは6回2死満塁から押し出しの四球を選べたところだった。「球はよく見えていた」。6球目。真ん中に落ちる低めのチェンジアップをファウルにすると、なんとも言えない表情で今井を見つめた。

「わ! 本当によく当たってくれた! って思いました」。続く7球目のスライダーもかろうじてバットに当てた。「バットに当たっていくうちに、なんとなく感触的に安心していきました。変化球にしても、よく球は見えているというのはありました。ああやって変化球をファウルにできたっていうところで、ある意味、自分の中でも自信を持つことができました」と、押し出しにつなげた2球が呼び水となった。8回には、勝ち越し打を放ち、これが決勝打となった。

「調子が悪くても、どの打順でも必ずチャンスで回ってくるので、彼が打てば勝てる」と井口資仁監督は試合後語った。一方で「4番に帰りたいですけど」と、お立ち台で自ら口にした井上。7月3日に30歳の誕生日を迎え、今月の球団PRポスターにも抜擢された『夏男』。少し気は早いが、春先に苦労した井上が本格的な夏到来の折に、自身の打撃でリーグを席巻することができるか。

(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

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