MLBコミッショナー、飛ぶボール説を否定「ひどい陰謀説だ」 飛ばない球に改良も?
マンフレッド・コミッショナー「ボールを変化させたというのは、ひどい陰謀説だ」
大リーグ機構(MLB)のロブ・マンフレッド・コミッショナーは9日(日本時間10日)、アストロズのバーランダー投手ら一部から飛ぶボールに変更されていると主張されたことについて、「ボールを変化させたというのは、ひどい陰謀説だ」とコメントした。
メジャーでは今季前半戦が終了した段階で1345試合が行われているが、本塁打はすでに3691本。このペースでいくと年間6668本のホームランが生まれることになる。この本塁打数は昨年の5558本から19%増。6105本で最多だった2017年との比較では9%増となる見込みだ。
MLBの本塁打増――。アストロズの通算214勝右腕バーランダーはボールを意図的に変更したのではないかと訴えている。こうした指摘に、マンフレッド氏は全米野球記者協会に対し、「我々は、ボールに変化を及ぼすようなことは何もしていない」、「一番の問題は、野球でもっと本塁打が必要だという論理だ。オーナーたちとのミーティングで、人々が話しているのを聞いても、彼らが、そう(もっとホームランが必要だと)考えている様子はない。オーナー側は、本塁打の数をもっと増やしたいと望んではいない。逆に(増加している)本塁打の数を気にしている」と語った。
さらに、「投手は、特にボールのべっとりとした感じ(粘着感)と縫い目が問題だと指摘している。我々もこれらが、ボールのパフォーマンスに影響を及ぼしているのかもしれないと考えて、このことを解明したいと考えている」と指摘し、攻撃力を高めるためにMLBがボールを変えたという主張を完全に否定した。
「ボールを変化させたというのは、ひどい陰謀説だ。人間が主導してハンドメイドで作っている過程で、一定して変化させることが、どのようにしたらできるのか。そんなことが出来る人間は、私より頭脳明晰な人間である」
ホワイトソックスのジオリト、アストロズのコールはボールの感触が違うと発言。MLB選手会のクラーク専務理事、バーランダーはMLBが昨年6月にボールを供給するローリングス社を買収したことで問題を有耶無耶にしているのでは、と指摘する。それでも、マンフレッド氏は「野球製品を製造する会社が我々の全くコントロール化になければ、もし、その会社に何かあった時に、我々はとても難しい立場に立たされる」と首を横に振って否定。さらに、MLBは縫い目の幅と高さをレーザーでテストし、仮に空気抵抗の低下の原因が見つかれば、本塁打の数を抑えるためにボールの仕様を変化させるかもしれない、とまで語った。
「我々は、まだ、そのことについては決断していない。ボールを変化させるということは、ゲーム自体を変化させることになりかねない。そのようなことが起こる可能性は理解している。しかし、我々がそうすることを決めたなら、メディアやファンに前もってきちんと説明してから行うつもりだ」
メジャー全体に広がりを見せる飛ぶボール問題。超一流選手たちが不信感を抱えてプレーしないよう一刻も早い解決を願うばかりだ。
(Full-Count編集部)