日本シリーズを盛り上げる、楽天・藤田一也と巨人・ロペスの高い守備力
楽天セカンド藤田の好プレー
日本シリーズが第2戦まで終わった。巨人―楽天の対戦成績は1勝1敗。29日からは舞台を仙台から東京に移して3連戦が始まる。
仙台での2連戦では、楽天は則本昂大、田中将大、巨人は内海哲也、菅野智之と好投手たちが投げ合い、引き締まる展開となった。ただ、最後まで目が離せない接戦となったのは、ほかにも要因がある。楽天のセカンド・藤田一也、巨人のファースト・ロペスの高い守備力だ。
両選手は難しいプレーをいとも簡単にやって見せる。藤田の守りがピッチャーを助けたのは第1戦の5回ノーアウト2、3塁の場面だ。得点は0対0。前進守備隊形ながら巨人・橋本到の強い打球を捕球すると、すかさず本塁へ送球し、三塁走者を刺した。
さらに第2戦では長野久義のセンターに抜けそうな当たりが、イレギュラーバウンドになり、方向が変わった。たが、藤田は冷静に逆シングルで捕球し、仕留めている。初戦では楽天が敗れたが、2戦目は藤田の絶妙なフィールディングと攻撃面での執念のヘッドスライディングが勝利を呼び込んだ。
ベネズエラ代表ではセカンドを守るロペス
一方の巨人はロペスの守備が際立った。ファーストを守ってはいるが、09年WBCでベネズエラ代表のセカンドとしてベストナインに選ばれるほど、守りには定評がある。第1戦の勝負を分けた場面もロペスの判断が光った。
1点をリードした5回ノーアウト1塁。楽天・嶋基宏のバスターエンドランの打球は三遊間へと飛んだ。深い位置で捕球した坂本勇人は間に合うタイミングではなかったが、一塁へ送球。スタートを切っていた一塁走者の松井稼頭央は坂本の体勢が崩れていたため、いい送球ができない、もしくは送球がそれるだろうと判断し、スピードを緩めずに一気に三塁を狙った。
松井の読み通り、送球は取りづらいワンバウンドとなった。だが、松井の動きをしっかりと見ていたロペスは、瞬時に一塁ベースから離れ、前に出て捕球。素早い判断で三塁へ送球し、松井を刺した。楽天の球団関係者は「ロペスの視野の広さも見事だが、守備が完成されている」と鉄壁な布陣に脱帽している。
第2戦でも、絶妙なタイミングで1塁ベースに入り、牽制死を誘うビッグプレーを成功させるなど、ロペスの賢さと守備の上手さはこの2戦でいかんなく発揮された。
藤田とロペス。2選手の守りがあったからこそ、日本シリーズはよりハイレベルな展開となった。第3戦以降、彼らの守備に注目しながら見てみるのも面白いかもしれない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count