先発投手の評価基準の一つQSはチーム成績に関係なし? 12球団最多は鷹千賀も…
パ・リーグはホークス千賀、セ・リーグは巨人山口がトップ
QS(Quality Start)は、先発投手が6回以上投げて自責点3以下に押さえる投球のことを言う。先発投手の最低限の責任とされる。投手の分業が進み、完投、完封勝利が減少する中で、QSは先発投手の重要な指標となっている。
7月16日時点での各球団のQSの状況を見ていこう。
【パ・リーグ】
○チーム別のQS数と試合数に占める比率
ソフトバンク 86試合 41QS/47.7%
日本ハム 86試合 23QS/26.7%
西武 84試合 32QS/38.1%
楽天 84試合 38QS/45.24%
ロッテ 83試合 32QS/38.6%
オリックス 85試合 43QS/50.6%
首位のソフトバンクは半分近くがQSだが、2位の日本ハムは4試合に1回強しかない。最下位のオリックスが最多の43QS。今季のオリックスは山岡、榊原、山本と若手の先発投手が台頭しているのが大きい。しかし打線の援護が乏しく、QS数の割に勝ち星が上がっていない。
○パ・リーグ QS数10傑
1 千賀滉大(ソ)15試合14QS/93.3% 9勝2敗105回 防御率1.97
2 有原航平(日)14試合11QS/76.9% 9勝4敗97回 防御率2.23
2 山岡泰輔(オ)16試合11QS/68.8% 7勝2敗110.2回 防御率3.01
4 榊原翼(オ)12試合10QS/83.3% 3勝4敗76回 防御率2.72
4 山本由伸(オ)13試合10QS/76.9% 4勝4敗93.2回 防御率1.92
6 美馬学(楽)14試合9QS/64.3% 5勝3敗82回 防御率4.06
6 大竹耕太郎(ソ)15試合9QS/60.0% 5勝3敗98.1回 防御率3.20
8 上沢直之(日)11試合8QS/72.7% 5勝3敗71.1回 防御率3.15
8 二木康太(ロ)14試合8QS/57.1% 6勝5敗90回 防御率3.40
8 今井達也(西)14試合8QS/57.1% 5勝7敗91.2回 防御率4.12
ソフトバンクの千賀は15試合で14QSと驚異的な安定感。昨年のソフトバンクは2位にはなったものの規定投球回数に到達した投手がいなかったが今季は千賀がエースの働き。
日本ハムはチームとしてはQS数は最小だが、有原と上沢で19QS。この2投手のときは信頼して長いイニングを投げさせるが、それ以外の投手は、早めに継投策に出ていることがわかる。ロッテは昨年までエース級の働きだった石川歩の不振が大きい。今季は10先発で3QSどまり。今は救援に転向している。
【セ・リーグ】
○チーム別のQS数と試合数に占める比率
巨人 82試合 45QS/54.9%
DeNA 84試合 35QS/41.7%
中日 82試合 37QS/45.1%
阪神 86試合 45QS/52.3%
広島 86試合 43QS/50.0%
ヤクルト 86試合 33QS/38.4%
セのほうがパよりもQSの比率が高い。先発投手への依存度が高いこということか。巨人が最多。続いて阪神、広島と続く。
○セ・リーグ QS数10傑
1 山口俊(巨)16試合13QS/81.3% 10勝2敗105回 防御率2.14
2 今永昇太(De)15試合12QS/80.0% 8勝4敗105回 防御率2.66
2 西勇輝(神)15試合12QS/80.0% 3勝7敗103.1回 防御率2.87
2 大瀬良大地(広)15試合12QS/80.0% 6勝6敗105.2回 防御率2.90
5 柳裕也(中)15試合11QS/73.3% 9勝2敗102.1回 防御率2.73
5 大野雄大(中)15試合11QS/73.3% 6勝6敗110.2回 防御率3.01
7 菅野智之(巨)13試合9QS/69.2% 8勝4敗89.2回 防御率3.92
7 床田寛樹(広)15試合9QS/60.0% 5勝5敗89回 防御率3.03
9 ロメロ(中)13試合8QS/61.5% 5勝6敗78回 防御率3.46
9 小川泰弘(ヤ)15試合8QS/53.3% 3勝8敗91.2回 防御率4.71
昨年は、巨人の菅野が2年連続の沢村賞を取り大エースの活躍だったが、今季は山口の安定感が光っている。ただ昨年より不振とはいえ菅野は13先発で9QSをマークしている。広島の大瀬良は昨年27先発でリーグ最多の20QSを記録したが、今季も引き続き安定感がある。DeNAは今永が安定しているが他の投手が先発のときは救援投手でつなぐことが多い。
こうしてみると、QS数が多いからと言って必ずしもチームが好調とは限らないことがわかる。ここから見えるのは各球団の「投手起用方針」だということが言えるだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)