危険タックル野手が涙目 生まれ故郷で“報復”死球にブーイング「辛いよ」
マリスニックはカリフォルニア州出身「ここで罵声を浴びるのは辛いよ」
■エンゼルス 7-2 アストロズ(日本時間17日・アナハイム)
16日(日本時間17日)のエンゼルス-アストロズの一戦で、報復死球を巡り乱闘寸前の騒動が勃発。大谷翔平投手もチームメートと共にベンチから出てくる事態に発展したが、報復死球の対象となったジェイク・マリスニック外野手は出身地で罵声の嵐を浴び、「不本意だった」と涙目で振り返った。
エンゼルスの4点リードで迎えた6回に“事件”は起きた。ラミレスの3球目のファストボールは先頭マリスニックの肩付近に直撃。死球にエンゼルスタジアムのファンは大興奮し、「よくやった」という声もスタンドから飛び出すほどだった。
その後、一塁側のアストロズベンチから文句が出たのか、一塁手のプホルスが激怒。ベンチに指を指しながら歩み寄ると、左翼後方の両軍ブルペンから投手陣が飛び出した。大谷らベンチからも選手がフィールドに緊急出動。乱闘にはならなかったものの、場内は一時騒然となった。
「とんでもない凱旋? そうだね。これは不本意なんだ。以前のプレーは不運なものだった。ここで罵声を浴びるのは辛いよ」
試合後、カリフォルニア州リバーサイド出身のマリスニックはこう語った。騒動の発端は7日(同8日)のヒューストンでの前回対戦だった。8回に三塁走者として右飛でタッチアップ。クロスプレーで捕手のルクロイと激しく衝突し、ルクロイは脳震盪と鼻骨骨折の重傷を負った。コリジョンルールで生還は認められなかったものの、エンゼルスのオースマス監督が試合後に激怒する事態に発展。マリスニックはMLBから2試合の出場停止処分を受けた。しかし、本人は故意ではなかったとして異議を申し立てている。
10日後の“報復”死球は顔面近くの高さだった。「少し高かったし、内角すぎたね」と振り返ったが、出塁後、大ブーイングの中、二盗に成功するなど反骨精神を示した。
アストロズのヒンチ監督は試合後に死球を故意と断定。ラミレスに警告などの処分が出なかったことに激怒したが、マリスニックは「これは野球界の不文律。選手はそれに従っているだけ。投げた方に聞いた方がいい。自分がぶつけた側ではないので」と持論を展開していた。
プホルスが一塁ダグアウトに詰め寄り、一触即発となった空気を止めたのもマリスニックだった。ダグアウトに落ち着くように大きな身振りで制した。生まれ故郷の人々に打席に立つ度に大ブーイングを受けたマリスニックについて、ヒンチ監督は「ジェイクはよく対応していた。ダグアウトの上のファンは容赦なかった。彼は今夜、間違いなく悪役だった。彼は問題を沈静化させようとしていた。よく振る舞ったと思う」と擁護していた。
「あれは必要なかった。同地区のライバルに負けていた。昨日も今日も負けた。明日に向けて立て直したい」
生まれ故郷で悪役となったマリスニック。報復合戦の元凶になってしまった男は目に涙を滲ませながら、言葉を振り絞っていた。
(Full-Count編集部)