日本人初の金字塔 黒田博樹が成し遂げたメジャー5年連続2桁勝利の価値
野茂でさえ届かなかった5年連続2桁勝利
ヤンキースの黒田博樹投手が3日(日本時間4日)、メジャーでは日本人初となる5年連続2桁勝利を達成した。本拠地でのレッドソックス戦で7回4安打1失点の快投を見せ、今季10勝目(8敗)を挙げたベテラン右腕には、チームメートや地元メディアからも絶賛の声が相次いでいる。
米国で最も評価されているのは、その安定感。昨年、黒田が4年連続2桁勝利を挙げるまで、日本人最高は3年連続だった。あの野茂英雄ですら届かなかった記録だ。
ハイレベルな打者、中4日のハードなスケジュール、過酷な移動。厳しい環境の中で、異国の地からやってきた投手が安定した成績を残し続けるのは、やはり至難の業と言える。黒田自身も「継続することは大事。年齢に関係なく、日本人がこっちでできるというのは大事なことだと思う」と誇らしげに話した。
パイオニアとして黒田を初めとする日本人投手にメジャー挑戦への道を切り開いた野茂は、ドジャースでデビューした1995年から3年連続で2桁勝利を挙げている。1996年に「打者天国」のクアーズフィールドで史上初のノーヒットノーランを達成するなど、その活躍はセンセーショナルだった。ただ、1998年には不調に陥り、シーズン途中にメッツに移籍。トータルで6勝12敗に終わり、2桁到達はならなかった。
もっとも、野茂は翌1999年にブルワーズで12勝(8敗)を挙げると、2001~2003年にはレッドソックス、ドジャースで2度目の3年連続2桁勝利を達成。計7度の2桁到達は日本人最高だ。それでも、2004年には4勝(11敗)に終わっている。野茂ほどの偉大な投手でも4年連続で安定した成績を残すことが難しかっただけに、黒田が到達した記録の価値がいかに高いかが分かる。
しかも、野茂は2度目の3年連続2桁勝利でも32歳からスタートしたのに対し、黒田は35歳からの5年間で記録を達成。これも特筆すべき点だ。
野茂と並ぶ「2位タイ」はダルビッシュ。デビューから3年連続2桁勝利を達成している。今季は8月に入って右肘の炎症で故障者リスト(DL)入りしただけに、その前に10勝に到達したことは大きかった。来季以降も記録を伸ばしていく可能性は高い。ただ、今季途中で戦線離脱したことで、大きなケガをすることなく、5年連続で先発ローテーションを守り続ける黒田の凄みが改めて証明された形だ。