混沌とする田中将大争奪戦の行方。有力候補はどの球団?
田中に熱視線を送るドジャース
有力候補はドジャースとヤンキース? 米紙ロサンゼルス・タイムズは、ドジャースが獲得を狙う楽天・田中将大の特集記事を組んだ。「田中はドジャースかヤンキースとサインしたがっていると言われている」としているが、地元紙ならではの見解ともとれる。さらには、獲得を目指す球団の1つとして新たにメッツの名前も挙げられており、争奪戦の行方はますます混沌としてきた。
同紙によると、昨年5月にチームを買収したドジャースの新しいオーナーグループは昨オフから国際的なマーケットへの資金の投入に積極的な姿勢を見せており、ポスティング・システム(入札制度)では2573万ドル(約25億2000万円)で落札した韓国人左腕の柳賢振と6年総額3600万ドル(約35億3500万円)、キューバ人のヤシエル・プイグと7年総額4200万ドル(約41億2400万円)で契約。さらに、今オフに入ってからも、すでにキューバ人のアレクサンダー・ゲレーロを獲得し、4年総総額2800万ドル(約27億5000万円)でサインしている。
そして、現在、最も新しく、素晴らしい素材が田中だという。
記事では、田中の今季の驚異的な成績を紹介。さらに、ポストシーズンに入ってからも2勝0敗で、日本シリーズ第2戦では12三振を奪って完投勝利を挙げたことにも触れている。ドジャースは田中獲得への意思をオープンにしてきており、シーズン総括会見ではネド・コレッティGMが「ずっと彼を見てきた」と頻繁にスカウトを派遣してきたことを明かしている。
ドジャースの2014年の先発ローテーションは、クレイトン・カーショー、ザック・グリンキー、そして柳賢振の3人がすでに固まっている。だが、チャド・ビリングスリーとジョシュ・ベケットは手術明けでアテにならない。さらに、今季途中から好投を見せていたリッキー・ノラスコはシーズン終盤に不調に陥り、オフにはFAとなった。残留するかは微妙な状況だ。さらに、クリス・カプアーノ、エディンソン・ボルケスもFAと、駒は揃っているように見えて揃っていない。田中は、先発ローテーションの最有力候補と考えられているという。
また、日本人初のメジャーリーガーである村上雅則氏のコメントも掲載。同氏は「彼はコーナーを突く素晴らしいコントロールを持っている。ピンチになれば、本当に欲しいときにストライクを取れる」と絶賛。「ダルビッシュは試合序盤に制球を乱す傾向にあるが、彼にはそれがない。安定している」と話している。
さらに同紙は、獲得に向けてドジャースの最大のライバルとなるのはヤンキースだと指摘。名門球団はローテーション事情が苦しく、田中獲得を最優先事項にしている。メッツやレッドソックス、さらにエンゼルスも興味を示しているが、田中はドジャースかヤンキースとサインしたがっていると言われている、と見解を示している。
田中はこれまで希望球団を明かすどころか、メジャー挑戦の意思すら、まだ明らかにしていない。同紙の見方が正しいかは不明だ。新ポスティング・システムが、どのような形に落ち着くかも、田中の行き先を決める大きな要素となる。ただ、資金力を考えても、この2チームが有力候補であることは間違いなさそうだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count