メジャー王者レッドソックスで沸き起こる「ヒゲ論争」
躍進したチームの象徴となった「ヒゲ」
どのような決着を迎えるのだろうか? 上原浩治の活躍で世界一に輝いたレッドソックスで、ちょっとした議論が噴出している。「ヒゲをどうすべきか?」。今季、チーム内ではヒゲが大ブームとなったが、ワールドシリーズ制覇を達成したことを機に、これを剃り落としてチャリティーにしようという意見が出ているのだ。米国のスポーツケーブル局ESPN電子版は「ソックスのあごヒゲはどうなる?」と特集記事を組んだ。
ヒゲは躍進したチームの象徴だった。開幕前に新加入のマイク・ナポリ、ジョニー・ゴームズらが生やし始め、レギュラーシーズンでスタートダッシュを決めたことで験担ぎとして浸透。人気選手のダスティン・ペドロイアもこれに加わるなど大ブームとなった。ナポリが本塁打を打つとヒゲをチームメートから引っ張られる姿が話題となり、ファンは女性までも付けヒゲをして球場に応援に駆け付けた。オフィシャルショップではTシャツなどの「ヒゲグッズ」も売られた。
ただ、今はこれが“大問題”に。伸ばし続けるべきか、剃ってチャリティーにするべきか――。
捕手のジャロッド・サルタラマッキアは、世界一を決めた第6戦の後にこのことに言及。オフに結婚を控えている選手も含めて、ヒゲを伸ばし続けたいと主張したという。
一方で、4月にボストンマラソンの爆破テロ事件があったこともあり、複数の選手は剃ってチャリティーにするべきだと強く感じているという。あるチーム関係者によると、内部ではヒゲについていくつかの議論があったというのだ。
ある選手は冗談交じりに、ヒゲがあることで自分が馬鹿に見えると話したという。ただ、数ヶ月をかけてあごヒゲを“栽培”してきた選手にとっては、決定を下すのは簡単ではない。ナポリは春季キャンプから全く剃っておらず、ほかの多くの選手もほとんどそれに近い状態だ。しかも、選手たちはそれぞれのヒゲに名前を付けているという。ちなみに、ゴームズは「Ironsides(鉄騎隊)」だという。
ESPNはホームページ上でアンケートを実施しており、現時点では「ヒゲを剃ってチャリティーにするべき」が約80%、「オフも伸ばし続けるべき」が約20%と圧倒的な差が付いている。
上原は渡米後にトレードマークになっていたヒゲをキャンプ前に剃り落としたため、この議論とは無縁だ。それでも、いかつい男たちを凌ぐ人気者になれたのは、圧倒的な成績があったからだ。だが、さすがの上原もレッドソックスの内外で沸き起こる「ヒゲ論争」には入り込む余地がなさそうだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count