鷹ドラ1甲斐野が窮地を救う好リリーフ 力を与えた甲斐の言葉と背中へのひと押し
7回1死三塁で4番手で登板し、見事な無失点リリーフ
■ソフトバンク 2-1 楽天(CS・7日・ヤフオクドーム)
ソフトバンクの甲斐野央投手が、勝利を呼び込む好リリーフを見せた。7日、ヤフオクドームで行われた楽天との「パーソル クライマックスシリーズ パ」第3戦。ドラ1右腕は7回1死三塁のピンチでマウンドに上がると、見事に無失点で封じた。試合後は「エグかったです。今日は特別ですね」と、独特の緊張感の中でリリーフに成功し、安堵の笑顔を浮かべた。
窮地で出番は巡ってきた。同点で迎えた7回、まず3番手で嘉弥真がマウンドに上がった。左腕は先頭の銀次に右中間への二塁打を許すと、続く藤田の犠打で1死三塁となった。外野フライでも勝ち越される場面で、代打ウィーラーが告げられると、甲斐野がマウンドへと向かった。
「細かいことは考えてなかった。自分のボールを投げるとしか思っていなかった。三振だけを取りにいくつもりでした」。そのウィーラーをどん詰まりの遊ゴロに仕留める。「2アウトになっても油断することなかった」。さらに代打フェルナンドを空振り三振に斬り、見事にピンチを脱してみせた。
ウィーラーと対峙する直前、文字通り背中を押される場面があった。交代を告げられ、上がったマウンド上。マスクを被った甲斐から「出せる力を出せよ」と声をかけられ、そして背中を強く押されたという。「拓さんの方を見たんですけど、拓さんは見てくれてなかったです」。軽いオチこそついたものの、より一層気持ちが入った。
「ホームで助かりました。ホームは違います。ベンチに帰るときの歓声も聞こえて、ファンの声援は凄いなと思いました」。力を与えてくれたファンの声援にも感謝した甲斐野。シーズン終盤は苦しい時期もあった。2位に終わった責任を一身に背負う発言をしたこともあった。だが、今季の2位はこのドラ1右腕の働きがあってこそ。それを証明するような、見事なリリーフだった。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)