連勝を飾った小久保ジャパン アマチュア選手を起用する狙いとは
プロ・アマ両面での経験を持つ小久保監督
台湾で行われている侍ジャパンの強化試合第2戦も、日本代表が台湾代表を4-2で下して連勝を飾った。この一戦ではアマチュア選手も奮闘。今年のドラフトで競合の末に広島1位指名となった大瀬良大地投手(22、九州共立大学)が5回から2イニングを無失点に抑える好投を見せ、視線を集めた。
大瀬良は150キロを超える直球を武器に、大学ナンバーワン投手であることを改めて証明した。今回の遠征ではその大瀬良を含めてアマチュア選手が4人帯同しており、そのうち3人が第2戦に出場。プロだけでなく、アマチュア野球界にとっても大きな刺激となる選手起用となった。
小久保裕紀監督(42)自身、青山学院大時代に1992年バルセロナオリンピックの野球日本代表として銅メダルを獲得するなど、アマチュア野球界にも尽力してきた。今回も小久保ジャパン首脳陣の一人に、アマで長らく指導者を務めてきた小島啓民氏(49)を招聘。同氏は三菱重工長崎監督、2010年の第16回アジア競技大会野球日本代表監督などを歴任した人物で、現役時代には小久保とともにバルセロナ五輪を経験している。当時は小久保が背番号7、小島が背番号8を背負い、打線の中軸を担った。ともに銅メダル獲得に貢献した2人は20年以上の付き合いであり、意思疎通も十分取れている。
奈良原浩ヘッドコーチ(45)や鹿取義隆投手コーチ(56)、仁志敏久内野守備走塁コーチ(42)らプロ経験のあるコーチが多い中で、小島氏の打撃コーチ就任は異色の抜擢だが、そこには小久保氏の思いが見て取れる。
2017年開催の第4回WBCに向かう侍ジャパンは、付け焼刃の強化では限界がある。プロとアマが一枚岩になって準備し、戦っていかなければ、覇権奪回は難しい。今回の小久保ジャパンの初陣に招聘したアマチュア選手がプロの中で萎縮しないためにも、アマチュア界で百戦錬磨の指導者である小島氏の存在は重要だったのだ。
狙い通り、第2戦は大瀬良だけでなく、高木伴投手(23、NTT東日本)、岡崎啓介内野手(24、日立製作所)の3選手が伸び伸びとプレー。国際舞台で貴重な経験を積むことができた。第3戦ではもう一人のアマ選手、日本ハムに指名された岡大海内野手(22、明大)も出場する見通しで、アマ戦士全員をいい形で起用できれば、アマチュア側の協力は今後も続いていくだろう。
4年後を支えるのは大瀬良や岡崎らの世代であり、プロとアマが最高の形で融合し、日本野球を強化していくことは不可欠。今回の人選はプロもアマも理解する小久保監督だからこそできることであり、これが2017年のWBC優勝への礎になることに期待したい。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count