「走るだけじゃない」鷹・周東の“脚”が生み出した副産物 巨人に与えたプレッシャー

ソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】

7回に代走で出場した周東、狙いは盗塁というより「気にしてもらえれば」

■ソフトバンク 6-3 巨人(日本シリーズ・20日・ヤフオクドーム)

 ソフトバンクが2連勝で、3年連続日本一に前進した。20日にヤフオクドームで行われた巨人との日本シリーズ第2戦。先発の高橋礼が7回1安打無失点と快投すると、7回無死一、 三塁で松田宣が決勝の3ランを放った。柳田、福田にも一発が飛び出して、6-3で2勝目をあげた。

 この日影のMVPと言っていい働きを見せたのは、7回に代走で出場した周東佑京内野手だった。この回先頭のデスパイネが三ゴロ失策で出塁すると、ソフトバンクベンチはすかさず、侍ジャパンにも選出された“走のスペシャリスト”を代走で送った。

 無死一塁。巨人2番手の大竹と大城のバッテリーはもちろん盗塁を警戒する。初球を投じるまでに3度、牽制を挟んだ。グラシアルに対してはストレート系のボール中心の配球になった。

 周東はこの場面を振り返る。「いけるタイミングであれば、いこうとは思っていました。気にしてもらえれば、というのはありましたね。牽制を投げさせようとも思っていました。走ろうというよりも、少しでも手助けになれば、と」。周東の頭には盗塁は狙いつつも、いかにバッテリーにプレッシャーをかけるか、がイメージされていた。

 狙い通りの結果が生まれる。周東を警戒した大竹はカウントを悪くした。2球連続でボール。ファウルを1球挟んで、スライダーが外れてボールに。3ボール1ストライクとなった。バッテリーにとっては四球は避けたい場面だった。5球目に周東がスタートを切る。142キロのシュートをグラシアルが弾き返し、打球は左前で弾む。周東は二塁を蹴って一気に三塁へと進んだ。

「極力意識をさせて、真っ直ぐ系が多くなればと思っていた。1番いい形になりました」。狙い通りに真っ直ぐ系をバッテリーから引き出し、それによってチャンスが拡大。そして、その直後に松田宣の3ランが生まれた。代走・周東がかけたプレッシャーから生まれた一発だった。

「走るだけじゃない、今日に限っては。走ることよりも、プレッシャーをかけることに重きを置いていました」。その走力はもちろん最大の武器である。だが、塁上にいるだけで相手バッテリーに与えるプレッシャー、そしてそれによって生まれる様々な相乗効果も、また周東の持ち味なのだ。

(Full-Count編集部)

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