2004年以来となる高校生ゼロ指名 中日のドラフトに見る落合GMの固い決意
落合GMにとって実質1年目のドラフト、常勝軍団再建への足がかりとなるか
落合博満GMの固い決意を感じさせる指名だった。
中日は23日のドラフト会議で12球団最多タイの9選手を指名した。内訳は社会人6人、大学生3人、高校生はゼロだ。「全員を即戦力と考えている」。谷繁兼任監督のコメント通り、徹底した即戦力重視のドラフトはチームの危機的状況を象徴すると同時に、常勝軍団再建への足がかりとなる可能性を秘めている。
思い起こされるのは2004年だ。中日の高校生ゼロ指名はこの時以来だが、当時は落合監督となって1年目。大きな補強もなくリーグ優勝を成し遂げたオフ、ドラフトでは大学生・社会人のみ大量11選手を指名した。
その後、目立った戦力となったのは現ソフトバンクの中田賢一、川井進(雄太)、鈴木義広の3投手くらいだが、最初の1年間で現有戦力を見極めた上で、大幅な血の入れ替えを断行。優勝チームに植え付けた危機感や競争意識が、2006年の2度目のリーグ制覇や翌年の日本一など数々の栄光につながっていった。
そして、今年は昨オフに就任した落合GMにとっては実質1年目のドラフトだ。
昨年はスター性も評価し、1位で4球団が競合した現楽天の松井裕樹に参戦。外れ1位では同じ高校生の鈴木翔太と、将来性も重視した指名に。独自の情報網から4位でJR東日本の阿知羅拓馬投手を推薦するなどの動きも見せたものの、準備期間は十分とはいえなかった。だが今年はGM自ら、1年をかけて各地のアマチュアの試合に足を運び、2年連続Bクラスの低迷脱出を託せる9人を選び抜いた。
開幕1軍入りが期待される1位の野村亮介、2位の浜田智博の両投手をはじめ、全員が短期間で結果が求められる厳しい立場にいる。“オレ流”のお眼鏡にかなった9人は、チームを変える存在となれるだろうか。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count