V戦士・岩村明憲氏が見る侍J、対好投手の課題「せめてファウルで粘って」
ヤクルト後輩の山田にアドバイス「自己犠牲し過ぎるのもよくないよ」
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で2大会ぶりの世界一を目指す野球日本代表「侍ジャパン」は、3日の「アサヒスーパードライ プレゼンツ 2017 WBC強化試合」で阪神(19時開始、京セラドーム)と対戦し、2-4で敗れた。
この試合では、先発の武田翔太投手(ソフトバンク)が2回3失点で早々に降板したが、3回からマウンドに上がった2番手・牧田和久投手(西武)が好救援で阪神に傾き掛けた流れを止め、中田翔内野手(日本ハム)の今季侍1号弾につないだ。侍打線は8回にも1点を加えて2-3まで持ち込んだが、その裏に秋吉亮投手(ヤクルト)が1失点。若手選手を揃えた阪神に敗れた。
WBC本番前に予定された強化試合5戦の負け越しが決まった侍ジャパンの戦いを、第1回、第2回WBC優勝メンバーで、現在はルートインBCリーグ福島ホープスで選手兼監督を務める岩村明憲氏は、どう見るのか。岩村氏はまず、この日の敗戦の中に見えた光明について語り始めた。
「やっぱり(中田)翔に1本出たのは大きかった。1打席目からいい間が取れていたから、結果を出してくれると思っていたんだよ。実は、試合前の練習でウォーキングティーをやってたね。歩いて一歩踏み出しながらボールを打つウォーキングティーをすると、右の股関節に体重が乗るから、タメと間が取りやすくなる。その練習を取り入れた成果かもしれないけど、阪神戦は1打席目から右足の体重を残して、いい間が取れていた。『これはいいな』って思ったね。
結果として出たのは、7回のホームランだけだったけど、他の打席の内容も悪くなかった。最後の三塁ゴロもボールの上っ面をこすって打ち損じただけで、スイング自体はよかったと思う。
前回も言った通り、翔が打つか打たないかは侍ジャパン打線に大きく影響する。ここへ来て、翔が調子を上げるきっかけを掴んだのは大きいね」
打線の中に見えたもう1つの光は、ヤクルトで背番号「1」を継承する山田哲人内野手の2安打だ。この日の試合前練習を打撃ケージの裏で見守った岩村氏は、山田のふとした表情が気になったという。
「フリー打撃の時、山田が浮かない顔をしていたんだよ。迷っている感じがしたから、もう少し(ボールを捉える)ポイントを前にして、思いっきり振ってもいいんじゃないか? って言ってみた。自己犠牲し過ぎるのも良くないよって。それまでの試合を見ていて、つなぐことを意識しすぎて、ライト前に打つことを狙っている感じがしたんだよね。自分のスイングをした結果、ライト前に打てるんだったらいいけど、打線をつなぐことを意識しすぎて自分のスイングができなくなったら本末転倒。阪神戦はいい感じで振れていたよね」