「入札が終われば、田中は精密検査を受けなければならない」 米球界が心配するマー君の体
米球界が心配する、マー君の登板過多
マー君の“登板過多”は、やはり米球界の心配の種のようだ。米紙ニューヨーク・ポストは、「160球:各球団が田中の仕事量を心配している」と題した記事を掲載した。名物記者のジョエル・シャーマン氏によって書かれたもので、田中将大(25)が楽天初の日本一のためにポストシーズンで多くの球数を投げたことに、メジャー関係者が懸念を示したことを紹介している。
同紙は、入札額の高騰を防ぐことが目的の新たなポスティング・システム(入札制度)が締結間近であることに触れ、メジャー挑戦が確実な田中について言及。新システムでは最高額を投じた球団が交渉権を得るが、旧所属球団に支払われるのは1位と2位の平均額になるとしている。ただ、たとえ新システムが作られようと、ヤンキースを含む複数のチームが、史上最高の落札額であるダルビッシュ有の5170万ドルを上回る大金を入札しても驚きではないと記している。
ただ、田中については無視できない心配事があるという。複数のメジャー球団が、日本一のために楽天が右腕を酷使したことを心配しているというのだ。
田中は日本シリーズ第6戦で160球を投げて完投しながら今年初黒星を喫した。そして、翌日の第7戦にも9回に登板して15球を投げてセーブを挙げ、日本一の胴上げ投手になっている。これについて、入札に参加する可能性が高いある球団の幹部は「(田中に)投資することを見据えた場合、その起用法はスタンダードなことだとは思えない」と、米球界から見れば非常識な連投であったことを指摘している。
田中はまだ25歳で、その若さはメジャー球団が魅力を感じている要因の1つだ。興味を示す他の球団幹部は、依然として入札に大金を投じることを考えているという。だが、「入札が終われば、田中はMRIなどの徹底した精密検査を受けなければいけないだろう。チームは彼の肩や肘が本当に大丈夫か、知りたがるはずだ。落札したチームが好ましくないものを見つけ、田中とサインしないということも、あり得ないとは思えない」とも指摘。フィジカルチェックの結果次第で交渉が破談になる可能性も示唆している。
新ポスティング・システムでは、交渉権を獲得したチームが契約に至らなかった場合、罰則が科せられるルールが加わるとされている。ただ、メディカルチェックで異常が見つかって破談となれば例外となる可能性もあり、マー君にとっても楽天にとっても最悪の事態となるだろう。強靭な肉体によって歴史的な記録を打ち立てた田中だけに、そんな結末にはならないと信じたいが……。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count