メジャー3年目でMVP受賞のベリンジャー 出場試合の差でイエリッチとの“激戦”制す

ドジャースのコーディ・ベリンジャー【写真:Getty Images】
ドジャースのコーディ・ベリンジャー【写真:Getty Images】

今季156試合出場、打率.305、47本塁打、115打点、15盗塁をマーク

 ナショナル・リーグの2019年度MVPは、ドジャースのコーディ・ベリンジャー外野手が受賞。ア・リーグはエンゼルスのマイク・トラウト外野手が受賞しており、両リーグともに「ロサンゼルス」の都市名を冠したチームの選手がMVPを手にした。

 ベリンジャーはメジャー3年目。高校から2013年のドラフト4巡目、全体124位でドジャースに入団した。同期のドラフト1巡目には、カブスのクリス・ブライアント、ヤンキースのアーロン・ジャッジらがいて、ベリンジャーはそれほど目立つ存在ではなかった。

 マイナー時代もルーキーリーグに2シーズン在籍。3年目の2015年に頭角を現し、2017年4月25日にメジャー昇格した。左翼と一塁を守って132試合39本塁打97打点10盗塁、打率.267を記録。オールスターに出場し、新人王投票でも2位のポール・デ・ヨング(カーディナルス)に大差をつけて新人王を獲得した。ドジャースは前年まで、エイドリアン・ゴンザレスが一塁を守り、中軸を打っていたが、肘を負傷して故障者リスト入り。ベリンジャーはその後釜に座った形だ。

 2018年は全試合に出場。一塁と外野を守り、25本塁打76打点14盗塁、打率.260だった。2019年はさらにパワーアップして156試合47本塁打115打点15盗塁、打率.305を記録した。

 ベリンジャーは193センチ92キロの左打者。スイングが速く、引きつけて長打を飛ばすタイプ。前年までは三振が多くやや荒っぽい印象があったが、今季は三振数が151→108に減少。四球数は69→95と増えてじっくりと球を見極める好打者へと成長した。さらに3年連続2桁盗塁を記録するなど足の速さも魅力。通算の盗塁成功率は.860と極めて高い。守備は、2018年は一塁が多かったが、今季は右翼を守って10刺殺を記録。外野手としてゴールドグラブも受賞した。

 今季のMVP投票ではブルワーズの外野手で、前年MVPのクリスチャン・イエリッチとの競り合いとなった。イエリッチは2年連続で首位打者を獲得。出塁率、長打率もリーグ1位。しかも30盗塁を記録した。

 セイバーメトリクス系の総合指標WAR(Wins Above Replacement)は、MVPの選考に当たって最も重視される指標とされる。WARで見ると、ベリンジャーが9.0、イエリッチは7.1と差がついた。これはWARが「積み上げ型」の数字で、出場試合数、打席数が多い選手の方が数字が上がる傾向にあることが原因だ。今季ベリンジャーは156試合に出場したが、イエリッチは130試合にとどまった。この差がWARの差につながった。

 MVP投票では、ベリンジャーが362.0ポイントに対してイエリッチは317.0ポイントだった。WARの結果を反映した形だ。ベリンジャーはまだ24歳。名門ドジャースにまた新しいスター選手が誕生した。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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