横浜DeNA中畑清監督の実った愛、実らなかった愛
FA権の行使で悩んだ林と金城
中畑清監督はメディアを通した印象そのままの人柄である。パフォーマンスと取られることもあるが、表裏のない情熱的な監督だ。
それはチーム運営に関しても同じことがいえる。選手と対話を欠かさない。オヤジギャグを飛ばし、選手に「監督、何言っているんですか」と冷たい視線を向けられても平気な顔。それも対話を大事にしている証しだ。そんな監督が大事にしてきた2人の選手がFA権の行使に悩んでいた。
今季56試合に登板し、2勝2敗15ホールド、防御率3・15の成績だった左腕の林昌範投手。巨人時代には抑えも務め、日本ハム、横浜DeNAとわたり歩いた経験豊富な31歳。貴重な中継ぎとして、今年のベイスターズを支えた。
そんな林に阪神ら数球団は獲得調査を進めていた。FAに関しては貴重な権利であり、林も行使についてじっくりと考えていた。そして下した結論は宣言せずに残留する方針だという。来年も中畑監督の胴上げを目指して、奮闘していく。
昨年はたった14試合の登板だったが、中畑監督は林を鼓舞しながら、積極的に起用した。もともと、気持ちで投げるタイプの投手であり、その性格を理解し、「使い続けること=期待」として、林を復活させた中畑監督。林は近い関係者に来年も中畑監督が続投するかどうかで行使の有無も変わってくることを明かしていた。「中畑監督には感謝しています」とも話している。選手の気持ちを理解して、起用してきた中畑監督の愛が届いた。