ハム加藤が2200万円増の5700万円でサイン ショートスターター査定で大幅昇給
「来年もショートスターターを先頭に立って頑張りたい」
日本ハムの加藤貴之投手が2日、札幌市の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2200万円増の5700万円でサインした(金額は推定)。
今季導入されたショートスターター戦術の下、先発も第2先発もこなし、26試合に登板して5勝7敗1ホールド、防御率3.52の成績を残した。ショートスターター査定で大幅昇給を勝ち取った左腕は「想像以上にアップしてくれました。来年もショートスターターを先頭に立って頑張ろうと思います」と力を込めた。
今季初登板となった4月2日の楽天戦で先発して3回1安打無失点と好投。そこから中3日で6日の西武戦でも先発して2回2安打無失点に抑えた。以降は金子弌大投手の後を受けた第2先発や通常のリリーフもこなすなどフル回転。新戦術の難しさについて問われると「中3日(での先発)は緊張感が抜けずに投げたので難しかったですが、0点で次のピッチャーに渡すだけなので、特に悩みませんでした」とサラリと振り返った。
登板試合数は昨季と同じ。投球回は昨季の113回1/3から92回に減ったが、防御率は4.53から3.52と大幅に改善した。打者2巡目以降の被打率が高くなるという昨季までの傾向を考慮されてのショートイニング起用がはまった格好だ。加藤自身も「1軍で投げることがプロ野球選手の第一だと思いますし、自分で納得して投げられたことが良かったと思います」と語った。
ローテーションの柱となるはずだったマルティネス投手と上沢直之投手が故障で離脱して多用せざるを得なかったショートスターター戦術。吉村浩GMは「(栗山)監督の戦術に対して、彼の対応というのはチーム全体にプラスになった。先発陣の故障があって止むを得ず始まったかもしれないけれど、加藤が果たした役割は大きかった」と高く評価した。
新戦術は加藤自身の長所を生かすと同時に、先発として長いイニングを投げなくてもチームに貢献できるという新しい形を示した。将来的にはこの経験をステップにして長いイニングを目指すのか、この戦術のスペシャリストを目指すのかは気になるところ。吉村GMは「監督はスペシャリストとしての特殊性を評価している。そこは加藤だからできるということは言っている」と語った。来季もショートスターターの申し子としてフル回転することになりそうだ。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)