盛り上がるFA交渉の裏で注目される各球団のプロテクトと人的補償とは
プロテクトできるのは28名のみ
FA宣言選手との交渉が解禁となり、その交渉内容が話題となってきた。涌井秀章、片岡治大、大竹寛、中田賢一らの契約する球団も気になるところだが、同時に注目すべき点は、その人的補償が生じた場合、一体どの選手になるのか、である。
FA選手を獲得した球団は、その選手のランクによって人的補償で選手を引き抜かれる可能性がある。球団ごとに日本人選手の旧年俸が上位3位までをランクA、4位から10位までをランクBと設定しており、このA、Bに該当する選手をFAで獲得した場合、獲得球団は逆に自分たちがプロテクトしていない選手を人的補償として相手チームに取られてしまうのだ。
プロテクトできるのは28名の選手。これが意外と少ない。残したいけれども苦渋の決断でプロテクトから外すケースも多くある。また、人的補償をしなければいけない球団側が相手球団の補強ポイントを分析した上で「この選手は取られないだろう」とプロテクトせずに悠長に構えていたところ、持っていかれたケースも過去にはあった。この駆け引きがフロント陣にとっては非常に難しく、ドラマ性があるのだ。
主な例は以下の通り。
【2005年】
小田幸平(巨人)→中日 野口茂樹の人的補償
江藤智(巨人)→西武 豊田清の人的補償
【2006年】
吉武真太郎 (ホークス)→巨人 小久保裕紀の人的補償
工藤公康(巨人)→横浜 門倉健の人的補償
【2007年】
赤松真人(阪神)→広島 新井貴浩の人的補償
岡本真也(中日)→西武 和田一浩の人的補償
福地寿樹(西武)→ヤクルト 石井一久の人的補償
【2011年】
藤井秀悟(巨人)→横浜 村田修一の人的補償
【2012年】
馬原孝浩(ホークス)→オリックス 寺原隼人の人的補償
これらの例を見ても分かるように、経験豊富で力のある選手も人的補償のリストに上がってくる。大型補強を目指す巨人も、ソフトバンクも、FA補強で複数選手に興味を持っている。ただ、FA選手が補償対象選手の場合は、若手の有望株をプロテクトできずに取られてしまうケースもあり得るのだ。FA市場が賑わう反面、その後に続くかもしれない各選手の野球人生の交差点からも目が離せない。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count