2.1億円更改の西武山川、譲れぬ4番の座 「中村さんよりもすごくなって…」
今季は2年連続本塁打王も、8月中旬に4番の座を中村に明け渡した
西武の山川穂高内野手が5日、所沢市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、1億円増の年俸2億1000万円でサインした(金額は推定)。不動の4番として昨季のリーグ優勝の立役者となったが、今季は調子が上がらず8月中旬に4番を外された。山川は「中村さんよりもすごくなって、4番を取りたい」と定位置奪取に燃えている。
春先から本塁打を量産し、不動の4番のはずだった。徐々に調子を落とし、8月に入ると8試合でわずか本塁打は1本のみと快音から遠ざかった。8月11日のロッテ戦(ZOZOマリン)で4番からの降格を告げられた日のことを「ショックでしたよ。ショックでしたけど、仕方ない」と振り返った山川。「替えられた日の練習は、ショックすぎて身に入らなかった。すぐに切り替えるなんて無理だし、『はあ』って」。
代わって4番に座った中村は、驚異的な勝負強さで打線をけん引。チームは投打が噛み合い始め、首位を独走していたソフトバンクを猛追し始めた。「最初は(4番を)取り返そうと思っていた」という山川だが、中村の活躍を目の当たりにするうちに気持ちに変化が表れた。「中村さんが4番でめっちゃ打っていたので、『今年は(4番に戻るのは)無理だな』って、そこで諦めました。だけど、6番7番でもできることはいっぱいある」と与えられた打順でチームバッティングに徹する覚悟を決めた。
得点圏に走者がいる状況で打席に入れば、バットを短く持ち、本塁打ではなく適時打を狙ってミート打ちに切り替えた。「試合に出ていないわけじゃないし、スタメンから外されているわけではない」とチームの求める働きを柔軟にこなし、リーグ2連覇に大きく貢献した。
それでも、4番にはこだわりを持ち続けている。「中村さんに勝つ。やっぱり中村さんはすごいので、あれ以上にすごくならないといけない。6番7番は嫌。4番を取りたい」と言葉に力を込めた山川。大砲の矜持が、オフも山川を突き動かしていく。
(安藤かなみ / Kanami Ando)