流れ掴めぬロッテ涌井 指揮官が悪いテンポを懸念「開幕から間合いが…」
チームは4連敗後の2連勝中も、初回に40球でテンポ崩す
反攻ムードの盛り上がりに、エースが水を差してしまった。8日の首位・楽天戦(ZOZOマリン)に先発した今季開幕投手のロッテ・涌井は、5回2/3で139球を要する8安打4死四球5失点の内容で、開幕戦に続く連敗を喫した。
6日の日本ハム戦ではチーム一丸となって、ドラ1ルーキーの佐々木にプロ入り初勝利をプレゼント。開幕4連敗後の2連勝でショックから脱し始めていたが、エースが白星を繋げず。涌井は「チームのいい流れを初回に止めてしまった。いい形で次の投手へ繋ぎたかったが、ああいう形でマウンドを降り、チームに申し訳ない」と話すしかなかった。
初回、強風の影響で味方守備の乱れもあったが、銀次に先制適時打を許し、3回にも2死二塁で再び銀次に落ちる変化球を拾われて2点目のタイムリー。球自体は悪くなかったが、立ち上がりからリズムが悪く、初回で40球を要するなど守っている時間も極端に長かった。「慎重になりすぎるのか、自分の中で自信がないのか、無駄なボールが多過ぎた。開幕から間合いがいつもより長い気がする」と伊東監督もテンポの悪さを懸念している。
3回に女房役の田村が「ワク(涌井)さんも頑張ってくれているので何とかしたかった」と、昨年9月30日日本ハム戦以来となる今季1号アーチを右翼にかけた。さらに、2死から「強いスイングを心掛けた。今季の初ヒットが久しぶりのホームラン」という「1番・加藤」が、2014年7月11日の楽天戦以来1002日振りとなる同点ソロ。勝利を目指してバックも必死に盛り立てたが、なにしろ球数が多過ぎた。
2-2の同点で迎えた6回2死二塁の場面。涌井は藤田を歩かせて9番・嶋との勝負を選択した。カウント1-2と追い込んでから、バッテリーを組む田村はマウンドに行った。勝負球の確認だ。そして、投げた128球目。外角一杯のストレートはこの日最速の148キロを記録した。しかし、ボール判定に集中力が切れたのか、次の145キロのシュートが甘く入り、決勝の右前打。「勝負にいったようなボールじゃなかった」と、指揮官を嘆かせた。
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細野能功●文 text by Yoshinori Hosono