ロイヤルズが夭逝“エース”を追悼 本拠地開幕戦で母が涙の始球式
ユニフォームの右袖に「30ACE」の喪章
ロイヤルズは10日(日本時間11日)、アスレチックスを迎えた本拠地開幕戦前に、25歳の若さで夭逝したロイヤルズの故ヨルダノ・ベンチュラ投手の追悼セレモニーが行われた。セレモニーの最後には、ベンチュラの母マリソル・エルナンデスさんが涙の始球式を行い、球場は大歓声に包まれた。
“エース”の愛称で親しまれたベンチュラは、細身の体ながら160キロにも達しようかという速球を投げた右腕。2013年に22歳でメジャーデビューを飾り、翌2014年からは3年連続で2桁勝利を飾るなど、将来を嘱望された生え抜き”エース”だった。だが、今年1月に母国ドミニカ共和国で起きた交通事故で逝去し、チームメイトをはじめ関係者は悲しみに包まれていた。
本拠地開幕戦だったこの日に行われた追悼セレモニーでは、サックス演奏による「アメージング・グレイス」が流れる中、ベンチュラの背番号「30」と愛称「エース(ACE)」の白い文字が浮かぶ黒いバナーをチームメイトが広げ、球場の大型スクリーンには在りし日のベンチュラの姿をまとめたビデオクリップが流された。
チームのリーダー的存在でもある一塁手ホスマーがチームを代表して挨拶。「チームを代表して、多大なるサポートを見せてくれたロイヤルズ・ファンに感謝します。今日はヨルダノの送った人生を祝いましょう」と球場を埋め尽くしたファンの呼び掛けた。
セレモニーの最後には、ベンチュラの母エルナンデスさんが始球式に登場した。「DIOS(神様)」と書かれたマウンドに上がると、亡き息子の親友でもあった捕手ペレスに向かって投球。ボールはワンバウンドしてミットに収まると、球場は大きな拍手と大歓声に包まれた。
ヘルナンデスさんは球団を通じて「とても幸せに思います。何よりもカンザスシティ・ロイヤルズの開幕戦で始球式を行えたことを、神様に感謝したいと思います」とコメントした。
今季ロイヤルズはベンチュラを偲び、ユニフォームの右袖に「30ACE」という喪章を付けて世界一を目指す。惜しまれながらこの世を去った“エース”ベンチュラの勇姿は、チームと共に生き続ける。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count