なぜエージェントが重要? 日本人選手のメジャー移籍を左右する大物代理人の手腕

金子のエージェントとして浮上しているアーン・テレム氏

 今オフ、メジャー移籍の可能性が浮上しているオリックスの金子千尋投手が、大物代理人のアーン・テレム氏と契約を結んだと、地元メディアの記者が現地時間18日にツイッターで速報した。つぶやいたのは、スポーツビジネスを専門に扱う「スポーツ・ビジネス・ジャーナル」の労使担当記者とされており、信憑性は高そうだ。

 金子がメジャー移籍に踏み切るには、あくまでオリックスがポスティングシステム(入札制度)の利用を容認しなければいけない。ただ、「その時」に向けて準備は着々と進んでいると言えるだろう。

 メジャー移籍を目指す選手にとって、代理人の存在は極めて大きい。しかも、金子はすでに国内FA権の行使に踏み切っており、実際にポスティングが容認されれば、両者を併用する史上初のケースとなる。日米の各球団を巻き込んだ大争奪戦となるだけに、テレム氏との契約は大きな鍵となるだろう。

 テレム氏はMLBだけでなくNBAの選手にも多くの顧客を抱えており、米国で最も影響力を持つスポーツエージェントの1人だ。かつては松井秀喜氏、そして現在はダルビッシュ有投手、岩隈久志投手ら多くの日本人選手も担当している。

 MLBでもう1人の大物エージェントと言えば、スコット・ボラス氏の名前を聞いたことがある人も多いだろう。契約交渉で法外な金額を球団に要求することから「吸血鬼」と呼ばれる人物だ。松坂大輔投手がポスティングでレッドソックスに入団する際には、決して条件面で妥協しないボラス氏を最後は松坂本人が説得し、合意に至ったという逸話もある。

 契約交渉がもつれる場合が多いが、実際に超大型契約をまとめてしまうことから、敏腕代理人として選手の信頼も厚い。

 かつては2000年シーズンのオフにはアレックス・ロドリゲスとレンジャーズ、2008年にマーク・テシェーラとヤンキースの契約をまとめ、近年では一昨年にプリンス・フィルダーをタイガースに、昨オフはジャコビー・エルズベリーをヤンキースに高額契約で入団させるなど、その腕は確かだ。一方で、あまりに法外な要求をすることから、獲得を狙う球団から敬遠されることもあると言われている。

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