楽天戸村「びっくり」緊急登板で救世主に 初登板初白星「何とか踏んばれた」
岸が腰痛発生で試合直前で登板回避も戸村好投でソフトバンクにカード勝ち越し
楽天が緊急事態を乗り越え、カード勝ち越しを決めた。23日のソフトバンク戦(ヤフオクD)。試合前にまさかのアクシデントが襲う嵐の船出だった。先発予定だった岸がブルペンでの投球練習中に腰に痛みを訴えて登板を回避。プレーボール直前に、急遽、先発投手が戸村健次に変更された。
この戸村が救世主となった。4月18日の西武戦(メットライフ)で今季初めて1軍に昇格した右腕はこれが今季初登板。スクランブル先発で、十分すぎるほどの好投を見せた。初回2死から柳田の中前安打、内川への四球で2死一、二塁とされるも、デスパイネを投ゴロに打ち取った。2回も明石に右前安打、高谷に左前安打を許し、1死一、三塁となったが、上林を空振り三振、中村晃を二ゴロに切り、ピンチを脱出した。
すると、打線が右腕の力投に応える。4回先頭の茂木が右中間を破る二塁打で出塁すると、続くペゲーロも右中間を破り、先制の適時二塁打。さらにアマダーにも左前適時打が飛び出し、2点のリードを奪った。
5回まで4安打無失点と力投した戸村。疲れが出たのか、6回に柳田、内川に連続四球を与えて無死一、二塁として降板となったが、バトンを受けた福山がデスパイネを三ゴロ併殺、明石を見逃し三振に切る好リリーフ。戸村は6回途中4安打無失点。福山から森原、ハーマン、守護神の松井裕と勝利の方程式でつなぎ、無失点リレーで逃げ切った。楽天は貯金を9に伸ばし、がっちり首位をキープした。
戸村は「試合開始直前に先発を告げられてびっくりしました。でも不測の事態に対応するために1軍に呼ばれていると思っているので、とにかく0点に抑えることだけを考えて投げました。最後はフォアボールが余計でしたけど、何とか0点で踏んばれたので良かったです」と安堵した様子でコメントした。
一方のソフトバンクは、2年ぶりの先発となった寺原が4回途中2失点でKO。リリーフ陣は無失点リレーで凌いだものの、前日に続いて打線が奮わず。楽天投手陣の前に序盤はチャンスこそ作るも、あと1本が出ず。終盤に1点を返したものの、1点差で競り負けて5割に逆戻りとなった。
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福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani