鷹・甲斐には「弱点がない」 燕移籍の嶋が絶賛する“弟子”の凄さとは…

自主トレを公開したソフトバンク・甲斐拓也【写真:福谷佑介】
自主トレを公開したソフトバンク・甲斐拓也【写真:福谷佑介】

「キャッチャーは勝って認められるポジション。そういう意味では僕が言えることはない」

 沖縄・金武町で報道陣に公開されたソフトバンクの甲斐拓也捕手の自主トレ。この自主トレで甲斐が“弟子入り”しているのが、楽天からヤクルトに移籍した嶋基宏捕手だ。昨オフから合同自主トレをはじめ、今年が2年目。この日は朝9時から約6時間、ヨガに始まり、下半身強化のメニューやスローイング練習、フリー打撃などでみっちりと汗を流した。

 甲斐が「捕手としてだけじゃなく、バッティングだったり、野球以外の部分、全てに関して学びたいと思ってお願いさせてもらった」と嶋に志願して実現した、この自主トレ。この日の甲斐の表情を見ると、その充実度が十二分に伝わってきた。

 では、“師匠”の嶋は甲斐のことをどう見ているのだろうか。まず、嶋は甲斐との自主トレについて「今や球界を代表するキャッチャーだと思います。3年連続日本一ですし、学ぶことが多いというか、野球のこと、野球以外のこと、野球の考え方、私生活全て、僕は野球に繋がっていると思うので、僕も学ばせてもらおうと、そういう気持ちです」と語っている。

 全てにおいてレベルアップしたいと、向上心“全開”の甲斐。だが、嶋は「僕からしたら弱点がない。キャッチャーは毎日試合に出ることが1番大変なこと。拓也は毎日元気に試合に出てますし、その中で日本一という結果を掴み取ってますし、キャッチャーは勝って認められるポジション。そういう意味では僕が言えることはないと思います」と、その成長ぶりに目を細め、能力を認めている。

 嶋曰く、やはり捕手として1年間試合に出続け、そして結果を残すのは大変なことだという。「打っても10何発、キャッチャーで2割6分、打点も40、50くらいあげている。それであれだけ盗塁刺したり、ワンバン止めたりしている。毎日試合に出て、それをやるっていうのはなかなか出来ないと思う」。嶋自身、キャリア最多の出場は楽天でリーグ優勝を果たした2013年の134試合。出続ける難しさ、苦しさは熟知している。

 そして、試合に出続けた先にある苦しみも。「毎年結果を残すと、来年も『やって当然』と周りの見る目はなるけど、それが選手にとってプレッシャーになる」と語り、試合に出続けるからこそ生まれる周囲の期待の高まり、ハードルが高くなることが選手にとって大きな重圧になる。まさに甲斐がその状況にあり「相当プレッシャー感じてるし、背番号も変わったということでもっと注目されて緊張感出る。練習したりして、不安を少しずつ解消していっているかなと見受けられますね」とその心中を慮った。

 昨秋のプレミア12では、侍ジャパンのメンバーに選ばれた甲斐だが、主にマスクを被ったのは広島の會澤だった。ただ、嶋は「代表に選ばれるのは、僕が思うに全員がレギュラー。ベンチにいるから補欠じゃなくて、選ばれた時点で全員がレギュラー。あまり、そこに一喜一憂することはない。選ばれるだけで凄い」と、代表に選ばれることに大きな意義、価値があるという。「東京で五輪は僕らが野球やっているうちにあることじゃない。拓也には選ばれて、緊張感あるところでやって、もう1個上のレベルにいったらもっと凄いキャッチャーになると思います」と、甲斐の五輪代表入りにも嶋は期待していた。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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