脅威の活躍続けるホークス上林 4年目21歳を悩ませるもの「もういいです…」
高卒入団は5年目まで寮生活、開幕から3週間も自分の布団で寝られず
目覚ましい働きを見せている。ソフトバンクの21歳、上林誠知外野手。3日の西武戦(ヤフオクD)で、プロ初本塁打以来のグランドスラムとなる逆転満塁弾を含む2安打5打点と大暴れし、チームは快勝した。前日も3ランと2ランの1試合2発で5打点をマークしており、2試合で3本塁打10打点と驚異的な活躍だ。
脚光を浴び始める21歳。開幕1軍を掴み、1か月が経ったが、そんな上林を苦しめていることがある。
それが、連日続いている「ホテル生活」である。
高卒4年目の上林は、現在も寮住まい。だが、その寮は福岡・筑後市にあるファーム施設「HAWKS ベースボール筑後」の中にある。ナイター終了後は帰ることが出来ないし、ホームのデーゲームは朝早くにドーム入り。そのため、1軍に帯同する寮生は、翌日に試合がある場合、福岡市内のホテルに宿泊している。
開幕から1軍でプレーしている上林。4月はほとんど自室に戻ることが出来なかった。4月3日から仙台、埼玉、札幌へ遠征に出て、帰福した14日からは移動ゲームで2試合。15日夜には鹿児島へと移動し、そのまま千葉へ。21日に福岡へ戻り、23日の楽天戦後、3週間ぶりに、ようやく自分の部屋の布団で眠ることが出来た。
「もうホテルはいいです…」
3日の試合後にも、こう漏らした上林。出張などで長期間、ホテルで生活したことがある人ならお分かりだと思うが、ホテルの部屋では完全には気が休まらないし、慣れない枕やベッドでは、なかなか疲れが取れにくいもの。連日、ハードな試合を戦っているだけに、こう思うのも、至極、自然なことだろう。
ソフトバンクの高卒選手は5年目までは、基本的には寮を出ることを認められていない。だが、1軍での活躍具合によっては、特例を認められることもあるという。今季このまま結果を残し続けることができれば、特例が認められるかも――そのためには、「ホテル生活」の中で結果を残すしかない。
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福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani