広島のショート争いに他球団も熱視線! 田中広VS小園の“世代闘争”が本格化
燕スコアラーも注目「田中広はそう簡単には定位置を譲らない」
広島の遊撃レギュラーの座をめぐる、田中広輔内野手と小園海斗内野手の“世代闘争”の行方には、他球団も注目している。
2016~18年に不動の1番打者を務め、2番菊池涼介、3番丸佳浩(現巨人)と続く“タナキクマル”トリオの一角としてリーグ3連覇の原動力となった田中広だが、昨季は開幕から極度の打撃不振に陥った。6月20日のロッテ戦でスタメンから外れ、フルイニング連続出場記録が635試合でストップし、さらに翌21日の同カードを欠場し連続試合出場記録も途切れた。本人は口に出さなかったが、深刻な右膝痛が原因で、8月下旬にはチームを離れ右膝半月板の部分切除手術を受けた。97試合出場にとどまり、打率.193、3本塁打。17年に35盗塁でタイトルを獲得した快速も、シーズン8盗塁に終わった。
代わって主戦遊撃手として台頭したのが、18年夏の甲子園で報徳学園をベスト8に導いたドラフト1位ルーキーの小園だった。58試合出場、打率.213、4本塁打、1盗塁。田中広が復帰する今年も「絶対にショートのレギュラーを取りたい」と言ってはばからない。
両者は5日、今年の宮崎日南キャンプで初めてのシート打撃に参加。まずは30歳の田中広が、センターへ抜けそうな二遊間の痛烈なゴロを横っ飛びで好捕し、軽やかなスローイングで刺した。「思っていた以上に動けました」と膝の回復に手ごたえを得た様子だ。
一方の小園は、正面のゴロをいったん捕球した後ポロリと落とすエラーがあったが、これで奮起したのか、打撃で左腕の塹江から右翼席へ1発を放ち、「(エラーを)取り返してやろうという気持ちでした」とうなずいた。
この日、宮崎県内でキャンプを張るチームは広島以外すべて休日だったとあって、ネット裏には他球団関係者が集結。熾烈なレギュラー争いに興味深々だった。ヤクルトの押尾健一スコアラーは「田中広はそう簡単には定位置を譲らないでしょう」とみる。
一方、広島の山田和利内野守備走塁コーチは「田中広は膝を気にせずに動けていたので、いい“計り”ができたと思う。小園もポロッとやったが、バッティングで取り返した。レベルの高い争いになるのではないか」と明かした。
田中広は昨季比3000万円ダウンの今季年俸1億5000万円。小園は昨季比200万増ではあるものの15分の1となる1000万円(ともに金額は推定)だが、レギュラー争いではそこまでの差はなさそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)