“未完の大器”ハム大田が古巣ドームで2発 G阿部お株奪う「最高です!」

さらなる奮起誓う9年目「これを少し自信にして、明日の試合につなげたい」

 未完の大器が汗と涙を流した東京ドームで花を開かせた。日本ハム大田泰示外野手が12日のロッテ戦で、1試合2本塁打を放った。

 2回にロッテのエース涌井が投じたツーシームを左中間への先制2号とすると、5回には再び涌井から、今度はカーブを捉えて右中間へ3号2ラン。自身初1試合2アーチを架けて上がったお立ち台では、古巣巨人の阿部の決め台詞「最高です!」を連発した。

 1950年5月31日に前身・東急フライヤーズが樹立して以来、67年ぶりに球団記録に並ぶ1試合7アーチの口火を切った。大田にとっては8年在籍した古巣の本拠地・東京ドーム。試合前、色んな思いでリキむことを懸念した栗山監督は「ちょっとだけ力を抜こうよ」と声を掛けたという。「色んな思いは本人にしか分からない。苦しさもあったろう」と指揮官。必ず北の大地で本来の力を発揮してみせると断行したトレードに、大田も最高の形で応えてみせた。

 浦野と並んだお立ち台でのヒーローインタビューを、ナインが全員ベンチに座って祝福した。大先輩・阿部のお株を奪う「最高です!」のセリフも、同じく巨人からのトレード組・矢野からのサイン?が出ていたようだ。「まだまだファイターズの選手として、貢献はしていない。これを少し自信にして、明日の試合につなげたい」と気を引き締めた。

 実は右中間へのアーチは1軍では初めてで、打撃面の成長を裏打ちしていると言えそうだ。この日は、若干背筋を立てて打席に入っており「選手やトレーニングコーチに色々相談もし、ヒントをもらっている。引き出しの中に、1つ入れておきたい。価値ある一日で、いい経験をさせてもらった。(巨人の8年間は)思うようにいかなかったが、人間的に成長させてもらった」と大田。古巣へ贈る恩返しのホームランでもあった。

【了】

細野能功●文 text by Yoshinori Hosono

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