股関節手術から復活目指す鷹サファテ 苦境から回復遂げた“1本の注射”
ホークス・サファテは股関節の故障から完全復活を目指す「痛みは全く感じない。それが1番よかった」
宮崎市の生目の杜運動公園で3月20日のシーズン開幕に向けてキャンプを行っているソフトバンク。11日からの第3クールでは紅白戦もスタートする予定。3年ぶりのリーグ優勝、4年連続の日本一を目指す王者は豊富な選手層を誇り、ここから29人の1軍登録枠の争いがさらに激化していく。
そのソフトバンクの中で復活を目指して徐々に段階を進めていっている1人の助っ人がいる。「キング・オブ・クローザー」と称されるデニス・サファテ投手だ。
サファテは2018年の開幕直後に股関節の違和感を訴えて離脱。検査のためアメリカに帰国すると、そのまま右股関節の関節唇を修復する手術を受けた。その年はシーズンをほぼ棒に振った。2019年のキャンプで久々にチームに合流。オープン戦でも登板したが、股関節の状態は思わしくなく、6月には再びアメリカへと帰国した。
そこから約8か月後。サファテは2月1日のキャンプインからチームに合流。第2クールを終えたここまで、3度、ブルペン入りし、捕手を座らせた投球練習を行っている。出力も、ボール自体もまだまだではあるが、3日にブルペン入りした時も「痛みは全く感じない。それが1番よかった。『治った』『準備できた』という思いになった」と前向きに語っていた。
「去年の今頃は投げてはいたけど、痛み止めを飲みながら大丈夫だと言い聞かせながらやっていた。比べものにならない」と、1年前はまだ痛みを抱えていたことも告白。そして、そのまま、再離脱となりアメリカでリハビリに励むことになった。
ただ、その後、すぐに状態が良くなったわけではない。「11月くらいまでは大したトレーニングはできていなかった」と明かしているように、帰国後もしばらくは股関節の回復は思わしくなかった。球団関係者によれば、10本以上、患部に注射も打ったが、それでも状態はよくならず。一進一退が続いていたという。
その苦境を変えたのが「1本の注射」だったという。それまでにも打ちながら、なかなか効果が見えなかったが、11月前後に打った“1本”が劇的に状況を改善させたという。それがキッカケとなり、11月を過ぎたあたりから、しっかりとしたトレーニングを行えるようになったという。
“1本の注射”といえば、思い出されるのが昨季、左肩痛から復活を果たした和田毅投手だ。2018年の春季キャンプで左肩の違和感を訴えた和田。その後、様々な治療や注射を行ったものの、なかなか回復しなかった。だが、秋に打った1本の注射で症状が一気に改善。2019年に復活を果たし、日本一を決める試合では勝利投手になっている。
昨春のキャンプでは体重が10キロほど落ち、92キロと痩せて来日したサファテ。その体重は11月の本格的なトレーニング開始後、徐々に増え、そして96~97キロまで戻ってきた。「まだ筋肉量を上げるウエイトトレーニングを始めたばかりだからね」とサファテも語っている。
股関節の故障は復活が難しいとされる箇所である。サファテにとっても、まだここから状態を上げていかなければならない。通算250セーブまで残り16セーブ。大台達成はなかなか厳しいと言えるだろう。それでも、復活に期待したい。ソフトバンクの誇る「キング・オブ・クローザー」の9回のマウンドへの帰還を。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)