ヤンキースが殉職した警察官の子どもの教育費を援助
これまでも多数の遺児を支援してきたヤンキース基金
ヤンキースが現地時間20日に巡回中に殺害されたニューヨーク市警の巡査の遺児の教育費を支払うと地元テレビ局CBSなど複数メディアが報じている。
クリスマスを間近に控えるブルックリンに凶弾がこだましたのは20日午後のことだった。ニューヨーク市警のウェンジャン・リュー巡査とラファエル・ラモス巡査がパトカーで巡回中にいきなり窓越しに銃撃されたという。「彼らは暗殺された。警察官の制服を狙った犯行だ。彼らは殺人犯を見る暇さえなかっただろう」とビル・ブラッドン署長は声明を発表した。
2人は近くの病院に搬送されたが、頭部を撃たれており、帰らぬ人となった。28歳のイスマイル・ブリンズレー容疑者は近くの地下鉄の駅に逃げ込んだが、構内で自決。全米を揺るがすショッキングな事件となった。
バラク・オバマ大統領も「私はニューヨーク市で起きた警官2人の殺害事件を全面的に非難する。2人の勇敢な人間が愛する人たちのもとに戻れなくなった。正当化されるものではない。警察官の方々は自分たちの身の安全を危険にさらしながら、毎日地域の安全を守り、奉仕している。彼らは尊敬に値し、日々感謝の気持ちが必要だ」と声明文を発表している。
市民の心に衝撃を与えた事件に際し、ニューヨークのシンボルでもあるヤンキースは犠牲者家族のサポートに動き出したという。
2010年に死去したヤンキースのオーナー、ジョージ・スタインブレナー氏はニューヨークの市民生活を守る人々への支援を続けてきた。1982年に設立した「スタインブレナーズ・ヤンキー・シルバー・シールド・ファンデーション」という基金は殉職したニューヨーク市警の警察官、消防士、港湾関係者らの子供たちに対して教育費を寄付してきた。
今回の事件に際し、このヤンキース基金がラモス巡査の大学生の長男と13歳の次男の教育費を支払うことになるという。リュー巡査は新婚だが、子供はいないと報じられている。
ジョージ氏とその親友で砲丸投げのメダリストである故ジム・フックス氏が共同創設者となって立てられたこの基金は、現在フックス氏の実子であるケーシーさんが運営者となっている。殉職者の遺族や2001年9月11日のテロ事件で家族を失った700人の遺児の教育費も援助してきたという。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count