ロッテ入り鳥谷の“金屏風会見”が無い理由 球団関係者「特別扱い」にならぬよう…
特別扱いなし、裸一貫からの再出発を強調
ロッテが10日、昨季限りで阪神を退団した鳥谷敬内野手の獲得を発表した。だが、通算2085安打、歴代2位の1939試合連続出場を誇るレジェンドの加入にも、金屏風の前に本人、井口資仁監督、球団幹部らが列席しての華やかな記者会見は開く予定がない。なぜなのか。
鳥谷は翌11日に千葉市の本拠地ZOZOマリンスタジアムを訪れて井口監督に挨拶し、報道陣の“囲み取材”に応じる程度。
球団関係者は「本来なら、あれだけ実績があるし、注目度も非常に高いので、華やかな会見を開いてもいいのかもしれないが、それができない最大の理由は、新型コロナウイルスの感染拡大。普段も報道陣の皆さんには基本的に取材対象者から2メートル離れていただいているのが現状ですから、密閉された空間に大勢の人を集めての会見というのは難しい」と説明する。
一方、鳥谷が井口監督の現役時代にシーズンオフの自主トレを一緒に行い、現在も同じマネジメント会社に所属するなど、長年親しい関係にあることは周知の事実。それだけに、ある球界OBは「オープン戦期間中の獲得でもあるし、あまり仰々しく会見を行って、周りの選手が“特別扱い”と受け取るようなことがあってはよくないと考えたのではないか」と指摘する。
そんな中、井口監督は「僕はその話(鳥谷獲得)を球団としたことはない」とキッパリ。松本尚樹球団本部長も、昨季まで阪神と年俸4億円の5年契約を結んでいた鳥谷に対し、野球協約上の1軍最低保障額である今季年俸1600万円の単年契約(推定)にとどめたことを示唆。出来高払いについても「なんにもないです。そこからのスタートです」と語った。鳥谷の実績と若手の見本となる資質を認めながら、あくまで裸一貫からの再出発を強調した。ロッテは6月に39歳となるベテランを有効活用できる環境を、慎重に整えているようだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)