V決戦で「ひらめき」ズバリ ソフトB工藤監督、“独断”大胆打線の理由

広島との交流戦V決戦、1番福田、4番松田、7番高田、“独断”のオーダー的中

 ソフトバンクが3年連続の交流戦最高勝率を勝ち取った。18日の広島戦(マツダ)。勝った方が最高勝率チームとなる直接対決で、序盤にリードを奪うと、7投手によるリレーで逃げ切った。12勝6敗で広島と並び、規定により、直接対決での勝ち越しで交流戦史上初となる3年連続の頂点に立った工藤公康監督は「選手が1試合1試合大事に戦ってくれた。故障者があって苦しい戦いだったですけど、内川くん、デスパイネの分までという思いが(選手たちに)あったと思う」と語った。

 この日、指揮官は思い切った策に出た。1番に4月30日のオリックス戦以来のスタメンとなる福田、4番には13年9月10日の西武戦以来、4年ぶりの4番となる松田を起用。7番には今季初スタメンの高田を置いた。普段、打順に関しては打撃コーチの提案を受け入れることがほとんどの工藤監督だが、この日の3人は指揮官の独断。閃きがあった。

「(福田、高田は)足を生かしたいのが(狙いの)1つにあった。打撃練習の状態が良かったので、使ってみたかった。(松田は)任せてみようと。意識して、思い切って打ってくれればいいかなと思った」

 この打線が見事にハマる。初回、福田が内野安打で出塁すると、松田の飛球を遊撃・田中が太陽の光を目に入れたのか、落球(記録は内野安打)。いきなり先制点を奪うと、2回には中村晃、高田の四球からチャンスを作り、甲斐、そして福田の適時打で2点を加えた。5回には2死二塁から松田が左前適時打。8回には高田が左中間を破る適時三塁打を放ち、甲斐のスクイズで生還。広島にトドメを刺した。

 必死の継投で、そのリードを守り抜いた。先発は山田だったが、1、2回と連続で失点すると、3回1死となったところで、指揮官は継投を決断。「向こうが調子づいて、打たれる前に早く代えたほうがいいという判断だった」。岡本にスイッチし、そこから飯田、五十嵐、嘉弥真、森、サファテと次々に投手を注ぎ込んだ。

 和田、武田を序盤で欠き、交流戦に入ってから内川、千賀、高谷、デスパイネと次々に故障者が出た。普通ならば、一気に下降線を辿ってもおかしくない状況だったが、結果的に3年連続の栄冠を掴み取ったソフトバンク。豊富な戦力で穴を埋め、若い投手陣も出てきた。「松本裕や石川は、こちらが思っていたよりも対応してくれた。助かっている部分はある」と指揮官。やはり強い。他球団に、そう感じさせる交流戦だった。

【了】

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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