ひたむきな姿勢に日本との共通点 アメリカの高校野球事情
日本とシステムが大きく異なる米高校野球
もう7年も前の話だ。ハイウェーを走行している時に見えた野球場に、多くの観客がつめかけていた。アメリカ・インディアナ州の小さな町でおこなわれていたのは、海を挟んだ西方にある国とは、大きくシステムの異なる高校野球だった。
「日本の高校野球トーナメントのことは知っているよ。ワールドシリーズ並みに盛り上がるんだってね。アメリカの高校野球にはそういう大きな大会はない。でもこのトーナメントは、こっちの高校生にとっては、ビッグゲームなんだ」
試合に挑むクラウン・ポイント高ブルドッグス、スティーブ・ストライヤーHC(=監督)はそう切り出した。おこなわれていたのは、ハイスクールのインディアナ州選手権4Aクラス『Sectional』メリルビル部門大会決勝だった。
日米のシステムには大きな違いがある。一人が様々な競技をおこなうこの国では、野球シーズンは毎年、秋口からスタート。したがってシーズンは年をまたいだ呼称になる(例:16-17年シーズン)。そして甲子園のような全国規模の大会はない。
では、アメリカの高校野球はどんな仕組みなのだろうか。
まずは、地元でのリーグ戦成績上位校が、3月から始まるトーナメント大会に参加(ここからは日本と変わらぬノックアウト方式)。2つ続く大会を勝ち進んだチームが、最終的に州王者(=『State Champion』)の栄誉に輝く。いわば地区大会、県大会、地方大会を勝ち進む選抜高校野球のイメージだ。
インディアナ州では、リーグ戦成績に応じAから4Aまでランク分けをする。各ランクごとに大会がおこなわれ、それぞれ州王者が決まる。大会形式は各ランクとも変わらない。まずは成績上位校で『Sectional』(=部、部門大会)を戦う。そこで勝った1チームのみが『Regional』(=地域、地方大会)へ進み、決勝に進んだチーム同士で州王者を争う。また同時期には様々な形の招待試合(チーム毎、地区オールスターチーム)などもおこなわれるのが特徴的。選手にできるだけプレーの場を与える意図が感じられる。