12球団で“過小評価”されている好投手は誰? セイバーメトリクスの指標で分析
阪神の高橋は守備から独立した失点率「tRA」で12球団で3位の3.24を記録
野球を客観的に分析する手法の1つとして、球界でも活用されているセイバーメトリクス。様々なデータを活用し、科学的かつ合理的に分析しようとするもので、メジャーリーグのみならず、今では日本のプロ野球でも駆使されている。
そのセイバーメトリクスの中には様々な「WAR」や「wRC+」「tRA」といった指標がある。「WAR」は選手個々の勝利貢献値を表し、同じ出場機会を代替可能水準(控えレベル)の選手が出場した場合に比べて、どれだけチームの勝利数を増やしたかを示すもの。「wRC+」は打撃傑出度とされ、リーグ平均の打者を100とし、打席あたりの得点創出の多さを表す。そして「tRA」は投手の指標で、守備から独立した部分での失点率を表す。必ずしもこれらが“絶対”というわけではないが、野球をより多角的に見る、選手を客観的に評価する材料として面白いものだ。
そこでここでは、株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを用いて昨季の成績を分析し、日本のプロ野球界で“過小評価”されている選手をピックアップしてみたい。今回は投手だ。なお、MLBで見ると、野手でWARやwRC+で上位に入るのはトラウトやブレグマン、イエリッチ、ベリンジャーら、投手でもWARやtRAで上位に来るのはゲリット・コールやマックス・シャーザー、ジェイコブ・デグロム、ステフェン・ストラスバーグなど錚々たる顔ぶれになり、その選手たちの働きを反映するものとなっている。
まず、投手は「tRA」という守備から独立した失点率を示す指標から見ていこう。セイバーメトリクスでは、フィールド上に飛んだ打球には野手の守備力や運の影響が大きいため、これを除いて評価する手法が定着している。「tRA」もこの考えが基になって出され、守備から独立した失点率とされる。
まずは先発投手から見ていこう。昨季80イニング以上を投げた先発投手で、この「tRA」が最も優れていたのはオリックスの山本由伸投手。最優秀防御率のタイトルにも輝いた右腕だが、この指標でもダントツのトップだった。2位に入るのが、巨人からブルージェイズに移籍した山口俊投手の2.96だった。