“東都の奪三振王”の実力開花、ソフトバンク東浜巨が抱く夢

ソフトバンク・東浜巨【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・東浜巨【写真:藤浦一都】

入団前から高い期待も、プロの壁にぶち当たる

 7月27日にパ・リーグではトップタイとなる10勝を挙げるなど、福岡ソフトバンク先発陣の柱として奮闘する東浜巨投手。開幕直後から離脱者が相次ぐ中、その穴を埋めて余りある活躍を続けている。プロ入りしてからの日々は決して順風満帆とは言えないものだったが、かつて東都を沸かせたスターが、数多の挫折を経て、ついに大きな飛躍を遂げようとしている。

 沖縄尚学高校時代には春の選抜で優勝投手となり、亜細亜大学でも東都大学リーグの通算完封記録を破るなど、素晴らしい実績を残した東浜。当然のようにプロのスカウトにも熱視線を送られ、2012年ドラフトでは3球団から1位指名を受けた。くじ引きの結果、福岡ソフトバンクに入団した東浜は、開幕前から新人王の有力候補と目され、入団会見では「1年目から先発ローテに入り、活躍して新人王を獲りたい」と抱負を語っていた。

 しかし、東浜を待ち受けていたのは厳しいプロの洗礼だった。初登板となった4月11日、制球に苦しみ初回だけで31分、52球を費やす。結果的に満塁弾を浴びるなどして4回途中6失点(自責1)。次の登板でも結果を残すことができず、以降2軍での長い調整を余儀なくされる。9月後半に再び1軍に合流すると、1完封を含む3戦3勝を記録して実力の一端を示したが、5試合に登板して3勝1敗という成績は、開幕前に寄せられた高い期待に応えるものとは言い難かった。

 翌年以降もなかなか1軍に定着することができず、2015年までの3年間で記録した勝利数は、1年目の3勝が最多。2014年から2年連続で日本一に輝いた福岡ソフトバンクの強力な先発陣に割って入ることができず、本来持っている力から考えると物足りないと言わざるを得ない立場に甘んじる状況が続いた。

 しかし、オフの期間に単独で海を渡り、筋力トレーニングに励むなどして迎えた2016年、ついに転機が訪れる。開幕こそ2軍スタートとなったが、初登板となった4月15日の楽天戦を勝利で飾ると先発ローテーションに加わり、6月16日まで5勝無敗の好成績をマーク。そのまま先発陣の一角として投げ抜き、自己最多を大きく更新する9勝を挙げる。防御率も3.00と安定感を見せ、主力の1人として存在感を示したシーズンとなった。

先発ローテに故障者続出の今季、ローテを守る安定感

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