鷹・工藤監督が描く“超積極打線”は… かつて語っていた「1番・柳田」の理想形

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】

昨年のインタビューで口にした「彼が1番を打てたとしたら、これが1番強いチーム」

 10日のオリックスとの練習試合に5-7で敗れたソフトバンク。この練習試合で初めてオリックスに敗れた昨季の日本一球団ではあるものの、収穫のある敗戦になった。それはやはり主砲・柳田悠岐外野手が放った2本の本塁打だろう。3回に左翼スタンドへ、7回には右翼ホームランテラス席へと広角に打ち分け、この日は3安打4打点の活躍だった。

 開幕まであと9日ほど。ここから調整は最終段階へと入っていくが、すでに「体はすごいいいんで、あとはこのコンディションを維持してシーズンで結果残せるように調整するだけ」と語る柳田は全開間近のよう。昨季はシーズンの大部分を故障で離脱した主砲の万全の調整ぶりはチームにとって大きいだろう。

 さて、この日は「3番・右翼」でスタメン出場した柳田。ここまでの練習試合でも3番で出場しており、ここが定位置となっている。前日9日の試合後に「超積極的な打線を組むのも1つ。ちょっとやりたいなと思っています」と語っていた工藤公康監督。10日には、その構想の一端と思われることを語っている。

 柳田は3番が中心になるのかと問われた指揮官は「ちょっとそこは今シーズンずっとかは分からない。どこかでコーチと話して、1番とかもあり得るかもしれないし、周りの人の調子を見て、4番だったりというのも考えてくれると思う」と語っている。3番以外にも、1番や4番という打順も構想にはあるようだ。

 その中でも注目すべきは柳田の“1番起用”だ。実は工藤監督、かつて柳田の打順についての理想形として「1番」を掲げていたことがある。ちょうど1年前に行ったインタビューで「彼が1番を打てたとしたら、これが1番強いチームかなと。それでも、3、4、5番が作れるのであれば、ですけど」と語っている。

 あくまでも柳田を1番に置いた上でも、強力なクリーンナップが作れることを前提条件としていたが、本塁打もあれば、一発もあり、そして四球も選べて4割超の出塁率を残せる柳田が1番にいれば、相手にとっては厄介極まりないだろう。前日に語っていた超積極打線プランの一端は、この「1番・柳田」なのではなかろうか。

 工藤監督が前提条件として掲げていた、柳田が1番に入った場合のクリーンアップだが、4番にはバレンティンがいる。そして、3番や5番にはベテランの松田宣や長谷川、若い上林らが候補になる。売り出し中の栗原を3番に据えても面白い。新型コロナウイルス感染症の影響で再来日できないでいるグラシアル、デスパイネの両助っ人が加われば、より一層、可能になるだろう。

「残りの4試合の中でそういうところも、頭に入れながら、打撃コーチが打線を組んでくれる意図を掴んでいきながら、そこに意見を言えたらいいかなと思っている」とも語った工藤監督。指揮官が温める“超積極的打線”がお披露目される時はいつか。その並びが楽しみだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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