練習試合打率.048… 鷹・内川に訪れた試練の時、工藤監督は「迷っているのかな」
練習試合は21打数1安打、栗原や上林のアピールで開幕スタメン落ち濃厚
6月19日の開幕まで、あと1週間を切った。練習試合も残すところあと1試合(ロッテと巨人のみ2試合)だけとなった。選手たちの調整も総仕上げ、そして、若手たちのアピールも最終段階に入っている。
3年ぶりのリーグ制覇と4年連続の日本一を目指すソフトバンクで特に著しくアピールしているのが若い栗原陵矢と上林誠知の2人。11試合を終えた練習試合の起用を見る限り、この2人が開幕スタメンの座を勝ち取る可能性は非常に高い。その一方で苦しい状況に置かれ、試練の時を迎えているのがベテランの内川聖一だ。
2000年のドラフト1位で横浜入りした内川は今季でプロ20年目を迎える。2018年には史上51人目となる2000安打を達成し、通算2171安打は現役選手では最多。長い球界の歴史の中でも屈指の右打者として、ヒットを積み重ねてきた打者だ。
だが、ここ2年間は結果が残せていない。2018年は71試合で打率.242、2019年は137試合で打率.256と、本来の成績とは程遠いシーズンを過ごしてきた。復権を期した今季だが、新型コロナウイルスの影響で開幕は延期に。そして新たな開幕に向けて始まった練習試合でも、本来の姿は鳴りをひそめている。
工藤公康監督は今季、結果を重視して選手を起用する方針を常に示し続けてきた。栗原や上林が結果を残す一方で、当初はスタメンで試合に出ていた内川は17打席連続ノーヒット。10日のオリックス戦、18打席目でようやくヒットが出たものの、12日の広島戦は代打で併殺打、そして13日の同戦では9回1死三塁と一打同点の場面で代打で登場。外角のボール球になるスライダーにバットが空を斬り、空振り三振に倒れた。
ここまでの練習試合11試合で21打数1安打、打率.048となっている。10日のオリックス戦は左腕アルバースが先発でスタメン起用されたが、13日は左腕の床田が先発でもスタメンにその名は無かった。ここ数試合の起用を見る限り、開幕スタメンから外れる公算は高くなっている。
工藤監督は13日の試合後、内川の状態について問われてこう答えている。「うーん、そうですね……」と逡巡しながら「僕は打撃のことはわからないところはあるんですけど、自分の中で答えが見つからない、迷っているのかなとは思います。その辺がちょっと打席の中にも繋がっている風にも思いますけどね」。内川の中にある“迷い”を感じ取っているようだ。
内川が稀代のバットマンであったのは紛れもない事実だ。これまでに残してきた実績から見ても、それは疑いようがない。だが、2020年の開幕を前に、そんな偉大な打者に試練の時が訪れている。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)