「ボールは赤松さんに」―広島會澤、癌から復帰目指す「仲間」の誕生日に激打

広島・會澤翼【写真:荒川祐史】
広島・會澤翼【写真:荒川祐史】

延長11回にサヨナラ打「僕らが頑張っている姿を見て、赤松さんも頑張って」

 広島の會澤翼が6日の阪神戦で延長戦に決着をつけるサヨナラ安打を放った。3-3の同点で迎えた11回裏、1死二塁で打席に立った會澤は、阪神7番手の石崎の150キロのストレートをとらえる。打球は「越えるかなと思ったが、超えてくれてよかった」と、やや前進守備だったライトの頭を超えた。

 石崎の外角球中心の配球に「めっちゃ踏み込んでいったから、最後も踏み込んでいこうと思っていた」という會澤。追い込まれた後の7球目の外角球を打ち返した。この日は磯村がスタメンマスクを被り、8回からの出場だったが、最初の打席で送りバントを決め、この日の2打席目で殊勲の一打を放った。

「途中出場が多かった選手なので、ベンチにいる時も試合の入り方を考えながらやっている。最初のバントもうまく決められてよかった」

 長い2番手捕手時代の経験を生かした。

「よく打った」と會澤を褒めた緒方監督は「調子が悪い時期が続いていたが、神宮で2本(ホームランを)打ってから吹っ切れた感じだった。期待していたよ」と喜んだ。自らのバットで2位阪神と直接対決の連勝を決めた會澤だが、「(中村)祐太とその後のピッチャーが頑張ってくれての勝利」と投手陣を気遣うことも忘れなかった。

 この日は胃がんから復帰を目指す赤松の誕生日だったが、「いい記念になった。ボールは赤松さんに渡します」と笑顔を見せ、「僕らが頑張っている姿を見て、赤松さんも頑張ってくれればいい」とエールを送った。さらに「仲間ですから」と、ともに戦う気持ちを示し、昨季までの盟友の復帰を願っていた。

(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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