【林昌範の目】筋肉系トラブルでケガ人続出 新型コロナ禍がペナントレースにも影響
新型コロナウイルスで開幕2か月以上遅れ、各選手は難しい調整を強いられた
プロ野球が開幕して1か月が経ちました。観客が球場に入れるようになり、まだ人数は少なく感染防止のために応援も規制されていますが、徐々に活気を取り戻しているように感じます。ホームチームが劇的な逆転勝利やサヨナラ勝ちを飾っているのは、観客が球場に入っている影響が多分にあると思います。大きな声で応援できなくても、ファンの後押しは選手たちにとって大きな支えになっているのです。
一方で、心配なのが筋肉系のトラブルが多いことです。巨人は田口麗斗投手が左太もも裏の張り、デラロサ投手が左脇腹肉離れで戦線離脱し、坂本勇人内野手も左脇腹の違和感で欠場しました。中日も高橋周平内野手が左太もも肉離れ、柳裕也投手が右腹直筋筋挫傷、アルモンテ選手が左内腹斜筋筋損傷と投打の主軸が次々に離脱。オリックスは山岡泰輔投手が左内腹斜筋筋損傷、比嘉幹貴投手が左大腿二頭筋筋損傷、ソフトバンクは長谷川勇也外野手が右脇腹筋挫傷、ムーア投手が左脹脛筋損傷で離脱が報じられました。上記の選手以外でも故障を抱えながらプレーしている主力選手の名前を耳にします。
開幕して短期間でこれだけの故障者が出るのは例年にないと思います。ただ、原因を探ると致し方ない部分があるように感じます。今年は新型コロナウイルスの影響で開幕が2か月以上遅れました。春季キャンプ、オープン戦と強度を上げてきたのを一回落とし、わずか数週間の練習試合を経て開幕に入っているため調整が非常に難しい。トレーナーの方とも話しましたが、選手も筋肉系の故障には細心の注意を払っています。ただ、ユニホームを着れば最大限のパフォーマンスを発揮するためにリミットを外してしまうのです。ユニホームを着て春季キャンプ2日目に筋肉痛が毎年のように来るのは、「戦闘服」を身にまとうことで心身に大きな負荷がかかるからだと思います。今年は開幕に向けてコンディション作りが非常に難しかったため、故障発生のリスクが必然的に高まっているのではないでしょうか。
気温差が激しい梅雨の時期で疲れがたまりやすいのも、故障しやすい要因だと思います。これから夏場を迎えて暑さとの戦いとなります。過密日程で選手は心身ともにタフである事が求められるのと同時に、チームとしていかに故障者を減らせるかもペナントレースを戦う上で大きなカギを握ると思います。
文/構成 インプレッション・平尾類