「やるしかない!」“恩師”井口の檄を胸に復活を期すロッテ清田の思い
志願して参加した沖縄自主トレ、変わらぬメニューをこなす恩師に驚愕
ずっとその背中に導かれてきた。プロ2年目のオフに弟子入りし、毎年1月の自主トレを共に過ごした。だから井口資仁内野手が引退を発表した時、誰よりも衝撃を受けた。清田育宏外野手にとって背番号「6」はいつも近くにいる、かげがえのない存在だった。
「同じ右打者。あれだけの選手が身近にいらっしゃるのだから、いろいろと教えてもらいたいという想いで、自分から『自主トレを一緒にさせてください』とお願いしました。教えてもらうのもそうだし、見て盗むこともできる。自主トレで一緒にさせてもらった時間は本当に貴重でした」
井口と濃密な時間を過ごした。沖縄での自主トレメニューはハードだとは聞いていた。想像以上だった。午前6時には走り込みが始まる。そこからほとんど休むことなく体を動かす。井口だけではなくタイガースの鳥谷敬内野手など多くのトッププレーヤーと体を苛め抜く日々は、清田にとって刺激的だった。そして、今となって改めて驚くのは、この7年間、井口は練習メニューをまったく減らすことなく、若手と全く同じ量の内容で体を動かして鍛え上げていることだ。
「42歳になられた今でも、自分が最初に自主トレに参加した2011年の時と同じメニューを変わらずに全力でやっている。それは凄いと思います」
身近で共に自主トレをすることで刺激を受けたのは、そのストイックな練習だけではなかった。誰にも分け隔てなく接してくれる態度、そして気遣い。メジャーで2つのチャンピオンリングを手にしたほどの実績溢れるスーパースターが見せる人間性に、あるべきプロ野球選手の姿を学び取った。
「オフの日にバーベキューをみんなでやるのですが、率先して買い出しに行ってくださる。自分は食べないでお肉を焼いて、若手のお皿が空いていると『もっと食べないと大きくならないぞ』とお肉を入れてくれるんです。自主トレには色々な選手が集まってくるのですが、井口さんのそういった人間性に惹かれてくるのだと思います」