阪神・藤浪の「もったいなかった」一球とは? 専門家が語る復活への次の一手
巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた「青い稲妻」松本匡史氏が解説
■巨人 4-1 阪神(5日・甲子園)
阪神・藤浪晋太郎投手が5日の本拠地・巨人戦で先発し、8回4安打4失点で今季3敗目を喫した。5回まで1失点と好投していたが、6回に自らの失策からピンチを招き、2死一、三塁から巨人の4番・岡本に右翼フェンス直撃の2点適時二塁打、大城にも適時打を許し、4点を奪われた。巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた野球解説者の松本匡史氏は「良い時に戻りつつあります」と期待を寄せる一方、「もったいなかった」と勝負が分かれた一球を紐解いた。
藤浪は最速157キロの直球とスプリットなどを武器に、好投を続けていた。0-1の6回。9番・戸郷の打ち取った打球処理を誤り、失策で出塁を許した。1死後、坂本に右前安打を浴び、チャンスを広げられた。2死一、三塁となったところで4番の岡本を迎えた。その初球、157キロの直球を狙い澄まされ、右翼フェンス直撃の適時二塁打を浴びた。
「藤浪はこの日の投球は良かったじゃないかなと思います。良い時に戻りつつあります。ストレートの走りもよかった。バッテリーにはそれが頭にあったはず。そういう中で岡本の入り方がもったいなかったと感じています」
真っ向勝負。岡本もストレートを待っていた。藤浪も力と力の勝負にいった結果だろう。それでもこの1球が勝負を分けた。手応えのあったボール、投球内容だったかもしれないが、チームに黒星がついたのも事実。「岡本は前の打席でも、ストレートをファウルしたスイングを見ていても、タイミングは合っていました。直球が走っていたので、抑えきれると思ったのでしょうけど、岡本が逃さなかった。簡単に入って行ってしまったな、と」。復調しつつある藤浪が自信のある直球で勝負にいった気概も理解したいが、相手は本塁打と打点でリーグトップにいる巨人の4番。その一球が悔やまれる。
3者凡退に抑えるイニングもあり、随所に良さも見えた。「メンタルは落ち着いてきたと思いますし、ボールが先攻しても、ファウルで打ち取っている。技術的にはストレートが抜けるところもあったので、改善できれば、球数は減っていき、勝利につながる投球になっていくと思います。5回まで本当によかったですから、次に期待できると思います」。
自身の失策から始まって招いた6回の4失点。あと一歩のところではあったが、藤浪が目指すのは目先の一勝ではない。ローテーション投手として働き、白星を重ねていくための“大事な一球”への執着が、今後の課題となっていく。