プロ初先発で強心臓発揮のハム堀、「失投がなければ0点に抑えられたかも」
5回6安打1失点と粘投「1球目でコケそうになって、落ち着けました」
日本ハムのドラフト1位ルーキー・堀瑞輝投手が29日、本拠地での楽天戦でプロ初先発。5回6安打1失点と好投したものの、打線の援護がなく、初黒星を喫した。
初回の第1球、いきなりフィニッシュでバランスを崩しても動じないところが並の19歳とは違う。「最初は緊張して地に足が着きませんでした。1球目でコケそうになって、落ち着けました」という強心臓ぶり。相手の犠打失敗にも助けられると、1死一塁からペゲーロを三ゴロ併殺打に仕留めた。
84年に南海の加藤伸一と近鉄の小野和義が投げ合って以来33年ぶりとなる高卒ドラ1ルーキー対決。3回終了とともに先にマウンドを降りたのは、すでに2勝を挙げている藤平藤平尚真投手だった。
「向こうは何回も投げているので余裕があると思っていましたが、自分は余裕がないので、気持ちだけは負けないようにしました」
一人一人、目の前の打者に集中して15個のアウトを積み重ねた。失点は2回にアマダーに甘く入ったチェンジアップを左翼席に運ばれた1点のみ。初回に続き、3回にも走者を背負った場面で併殺を奪い、冷静なマウンドさばきが光った。
無四球で終えた72球。栗山英樹監督は「素晴らしい。困った時にストライクゾーンにしっかり投げ込める。本当に楽しみ」と高く評価した。吉井理人投手コーチも「良かったです。すんなりゲームに入って、自分でゲームを支配していた」と絶賛した。
堀自身も大きな手応えをつかんだ。「失投をホームランはされましたが、逆に失投がなければ0点に抑えられたかもしれなかった。それが分かったことは収穫でした」とうなずいた。
本拠地のファンに強烈なインパクトを残した左腕は、今後フェニックスリーグでレベルアップを図ることになる。吉井投手コーチは「投げる実力はあると思うので、体力ですね。あと、本人は変化球の制球について『甘いところは打たれる』と話していたけれど、特徴のある真っすぐを磨いてほしい」と期待を寄せた。
「札幌ドームの先発マウンドは楽しかったです」と充実感をにじませて球場を後にした堀。来季ここに戻って来る時には、一回りも二回りも大きくなっているはずだ。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)